ここでふと、前クールで話題になったドラマ「MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~」の犯罪現場の描写を思い出したのです。ピリピリと切れるような緊張感、ロケによる超リアルな演出。「ペテロ~」はあの話題作から何も学ばなかったのでしょうか?
ドラマはスタートしたばかり。事件が解決したかに見えて謎が始まる--ミステリーの伏線を張ったのだ、と制作陣は言いたいのでしょう。もちろん物語の筋を追いかけて、謎や真相を解いていくという娯楽、ありえます。しかしもしそれならば、無理にテレビドラマ化しなくても。筋を追うなら宮部みゆきの原作を活字で読んでも十分楽しめるのかも。「ドラマでなくては楽しめない時間」、「ドラマでしか伝えられない感動」をこそ、視聴者は待ち受けているのです。
ちなみに主演・小泉孝太郎はじわじわと演技の幅を広げ、役者根性と原石の可能性を感じさせてくれました。有名人二世とちやほちやされそのうちフェードアウトかと思ったらそうでもなさそう。と、役者の変化を発見するのも、ドラマの楽しみ方の一つ。いよいよ幕が開く夏のドラマ。いかに多種多様な世界を見せてくれるのか、期待しましょう。