ビジネス

ミュージシャンの「2代目襲名」 是非と需要についての考察

 氷室京介の「ライブ活動休止宣言」が波紋を広げた。海外の有名アーティストではメンバーを入れ換えつつ活動を続けているところが少なくない。日本でも歌舞伎のようにロックアーティストの「2代目襲名」をしてはどうか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考える。

 * * *
 ミュージシャンの引退、そして2代目制度ということについて考えてみたいと思います

「氷室京介を卒業する」

 ロック歌手、氷室京介のライブ活動休止宣言が話題となりました。山口・周南市文化会館公演で発表され、当初はどう解釈していいのか分からず騒然となりましたが、本人のHPでも正式に発表されました。来年のライブをもってライブ活動を休止します。レコーディング活動などは行い、新作は発表するようですが。

 ツアーファイナル2DAYSの初日、7月19日横浜スタジアムでは、その理由などが語られました。活動休止の理由は、耳の調子が理由でした。7年前から右耳の調子が悪く、最近は左耳の調子も悪くなってきたとか。これにより、ライブ活動の継続は困難だと判断しました。この日のライブでは「人に寿命があるように、俺にミュージシャンとしての寿命が来たってことかな」と語りました。人気絶頂の時にBOOWY解散を決めた氷室京介らしい、潔い決断だと感じました(BOOWY解散の理由は、未だに謎ですけどね)。

 BOOWYのギタリストとであり、解散後、一度も一緒に演奏したことのない布袋寅泰は、ブログ上で、ラスト公演の共演を希望する発言をし、話題になりました。個人的には、夢の共演を見てみたいなと思いつつ、とはいえ、氷室京介は、自分の美学を貫き通すのかなとも思っています。

 ここまでは実は前置きで、今回はミュージシャンのキャリア、特に引退について考えてみますね。

 53歳での引退宣言(ライブ活動においてですが)というのは、今の音楽事情から考えると、早いように感じます。「ロックバンドの解散とプロレスラーの引退は信じちゃいけない」は大槻ケンヂの名言ですが、そう、結構な数のバンドが再結成し、しかも60代、70代でも活動しているのですよ。

 そういえば、ネット上では、今年の秋に来日するプログレッシブ・ロックの雄、イエスの来日公演ポスターが「遺影みたいだ。イエスじゃなくて遺影(イエイ)」「老人ホームの写真みたい」「死神みたいだ」なんていう声を見かけました。いや、客席もきっとそんな感じでしょう。高齢者たちが、バンド活動を続けています。

 元々のメンバーは数人でも、自分たちよりも若いメンバーを入れて続けているバンドをよく見かけます。KISSはオリジナルメンバーが2人で、60代の彼らよりも10歳くらい若いメンバーを入れています。DEEP PURPLEもリッチー・ブラックモアが抜けた後、メンバーたちよりもやはり10歳くらい若い、スティーブ・モーズが加入しました。ただ、そのメンバーたちも、いまやおじさんなのですけどね。

 QUEENもフレディー・マーキュリーが亡くなった後、ポール・ロジャース、アダム・ランバートなどをゲストボーカルに迎え、活動を継続しています。夏フェス、SUMMER SONICのヘッドライナーとしてのライブを予定しています。アダム・ランバートは32歳。メジャーデビューのきっかけは、『アメリカン・アイドル』というオーディション番組で準優勝したことでした。その際に、QUEENのナンバーを演奏しています。しかも、QUEENのメンバーと一緒に、なのです。ゲストとして番組に参加していたブライアン・メイ、ロジャー・テイラーが彼のボーカルに惚れ込んで、その場でクイーンへの参加を打診したのだとか。

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン