安倍政権は2020年に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字にする目標を掲げている。これは国の「税収(収入)」と、社会保障費や公共事業費などの「政策的経費(支出)」との収支を意味する数字で、黒字化は財政再建の絶対条件となる。日経の報道は、そのために消費税率「10%+再増税4%=14%」が必要と主張しているのだ。
この試算は内閣府がまとめ、近々、経済財政諮問会議に提出される予定だ。本誌取材によると、試算では2023年まで1年ごとのGDPや基礎的財政収支の予測数値が一覧表にまとめられている。その中で2020年の基礎的収支は約11兆円の赤字とされている。これは日経の記事の通りだ。ただし、「増税が必要」とか、「消費税14%」とは1行も書かれていない。
「プラス4%」はあくまで日経の“独自の見解”という形になっているが、財務官僚たちは記者にリークする際に、そうした“レクチャー”を加えるものだ。自民党政調幹部などに対するレクチャーではもっと大きな数字を説いていた。財務省幹部が白状した。
「今回の試算には総理が打ち出した法人税減税による減収が加味されていません。その分を合わせると2020年に約16兆円のマイナスになる。それまでに消費税をあと6%上げる必要があります。与党の先生方には、そこもきちんと理解していただいている」
財務省の本当の目標は2020年までに消費税率を16%まで上げることなのである。
※週刊ポスト2014年8月8日号