ビジネス

結婚後20年以上経った夫婦限定の「おしどり贈与」の制度とは

 2014年1月から相続税の課税が強化され、課税対象者が大幅に増えることになる。というのも、これまでは妻と子供2人が相続する場合、相続財産が8000万円以下なら課税されなかったのが、増税により4800万円から課税されるようになるからだ。そうしたなかで節税するためにはどうすればよいのか。たとえば、両親とも健在なら、父の財産を母に渡しておけば納税額を大幅カットできるのだという。

 そもそも「保有財産(評価額)1億円」でも夫婦の持ち分の違いによって、納税額は大きく異なる。しかし、現実には自宅(不動産)の所有権を含めて父がすべての資産を持っていることが多いのではないだろうか。

 そんな夫婦にうってつけの制度がある。「おしどり贈与」と呼ばれるものだ。「結婚してから20年以上経った夫婦」だけが使えることからそう称される。税理士法人チェスター代表の福留正明氏が解説する。

「夫(または妻)が配偶者に贈与する際に、最高2000万円が贈与税の対象額から控除されるというものです。これは『居住用不動産そのもの』か『居住用不動産を取得するための金銭』のいずれかを贈与する場合が対象になります。

 また、この制度は贈与税の基礎控除(年間110万円)と合わせて使えるため、最高で2110万円まで無税で贈与できます」

 これによって、多くのケースでマイホームの権利の約半分を一気に妻(母親)へ移すことが可能になる。

「不動産を現物で贈与する場合、法務局で所有権移転の登記をする必要があり、登録免許税(評価額の2%)などの諸費用がかかる点に注意してください。住み替えや、長く賃貸暮らしをしていた夫婦が新築しようという場合に現金で贈与するほうが節税効果はより高くなります」(福留氏)

 ちなみに「おしどり贈与」は一生に一度しか使えない。できるだけ最高額である2110万円の枠いっぱいに活用することを検討すべきだ。

 加えていえば、「夫婦の資産を均等化」した上で、「夫婦間で相続しない」とさらなる節税が可能になる。

 仮に夫婦が5000万円ずつ持っているとする。最初に夫が亡くなったら妻は相続せずに、5000万円を子供2人で分けることがポイントだ。それによって将来、妻が亡くなる時の相続財産を減らすことができる。その場合、夫が亡くなった時に20万円、妻が亡くなった時に80万円、2回の合計で相続税は100万円で済むことになる。

※週刊ポスト2014年8月8日号

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン