そのような折も折、渦中の令計画氏の兄が事実上、逮捕された。中国では党要人の親族の逮捕はその要人失脚の前兆とされる。さらに、令氏は習近平指導部が全力を挙げて、容疑を固めようとしている“周永康事件”とも深く関わっているとみられるほか、共青団閥と極めて近いだけに、習指導部にとって二重の意味で忌まわしい人物といえる。
計画氏らの父、令狐野氏は1930年代に党に加入した山西省の古参幹部。いまも存命で100歳近い。子供は長男の路線、二男の政策、長女の方針、三男の計画、四男の完成の5人。計画氏以外はすべて山西省の幹部で、山西省は中央幹部の計画氏の権力基盤である。その山西省に異変が起きている。2012年秋の習指導部発足後、政策氏ら23人もの同省幹部が腐敗容疑で身柄を拘束されているのだ。
北京の優れた歴史学者、章立凡氏は政策氏の逮捕について、「この事件は腐敗容疑の追及と、党内の権力闘争が複雑に絡み合っている」と指摘する。つまり、習氏の狙いは政策氏の腐敗解明によって、計画氏の事件への関与をも暴き、その延長線上で、共青団閥に打撃を与えるとの狙いがあるとの見方を示したのだ。
すでに、次期最高指導者の有力候補、胡春華・党政治局員がトップを務める広東省では共青団閥の若手指導者、万慶良・広州市党委書記が6月下旬、腐敗容疑で身柄を拘束されており、習氏による共青団包囲網は徐々に狭まりつつある。
(翻訳・構成 相馬勝)
※SAPIO2014年9月号