国際情報

習近平氏推進腐敗撲滅キャンペーン 共青団閥に打撃が狙いか

 中国国内では、習近平国家主席氏の号令のもと、厳しい腐敗撲滅キャンペーンが展開されている。国際教養大学教授でチャイナウォッチャーとして知られるウィリー・ラム氏が、習近平氏の腐敗撲滅キャンペーンの影響について解説する。

 * * *
 中国の首都・北京に近いながら石炭が主要産業の山西省。経済発展とはほど遠い地味な省の幹部が「重大な規律違反の疑い」で取り調べを受けていることが分かると中国全土が震撼した。

 この地方幹部は令政策氏(62)。同省の政治協商会議(政協)副主席というポジションは、スポットライトが当たる職務ではない。彼の4歳年下の弟が胡錦濤・前国家主席の腹心中の腹心でなければ、ほとんど誰も一顧だにしない事件だった。

 ところが、弟の令計画氏は曰わく因縁付きの人物だった。彼は胡錦濤指導部時代(2002~2012年)の10年間のほとんどを中国共産党中央委員会の事務方のトップで、日本の官房長官に相当する党中央弁公庁主任を務めた大幹部。2012年秋の第18回党大会の人事の下馬評では党政治局入りが確実視されたほどだったが、党大会直前の同年9月、何の前触れもなく同主任を解任され、格下の党統一戦線部長に転出し、いまに至っている。

 令氏の大学生の息子が同年3月、北京市内でフェラーリを運転中に事故死したばかりでなく、同乗していた女子大生2人が大けがを負って入院。しかも2人ともほとんど全裸の状態だった。令氏は息子のスキャンダルを闇に葬り去ろうと、知人の国有企業トップを通じて2人の親族に数千万元という口止め料を渡し、さらに党政治局常務委員会で、政法部門を担当する周永康・常務委員に事件のもみ消しを依頼したといわれる。

 しかし、このスキャンダルが党大会の最高指導部人事をめぐる権力闘争に利用された。部下の息子の不祥事とはいえ、胡氏が率いる中国共産主義青年団(共青団)閥は最高指導部人事で惨敗。しかも、令氏が頼った周氏は腐敗問題などで身柄を拘束されており、逮捕されるのも遠くない状態だといわれる。

 令氏は周氏や、周氏と近く無期懲役の判決を受けた薄熙来・元重慶市党委書記、さらに腐敗問題で身柄を拘束されている徐才厚・元中央軍事委員会副主席らと結託。習近平氏の最高指導者就任阻止の陰謀に荷担したと伝えられる。

トピックス

水谷豊
《初孫誕生の水谷豊》趣里を支え続ける背景に“前妻との過去”「やってしまったことをつべこべ言うなど…」妻・伊藤蘭との愛貫き約40年
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年9月28日、撮影/JMPA)
「琵琶湖ブルーのお召し物が素敵」天皇皇后両陛下のリンクコーデに集まる称賛の声 雅子さまはアイテム選びで華やかさを調節するテク
NEWSポストセブン
世界選手権でもロゴは削除中だった
《パワハラ・セクハラ問題》ポーラが新体操日本代表オフィシャルスポンサーの契約を解除、協会新体操部門前トップが悔恨「真摯に受け止めるべきだと感じた」
週刊ポスト
辞職勧告決議が可決された瀬野憲一・市長(写真/共同通信社)
守口市・瀬野憲一市長の“パワハラ人事問題”を市職員が実名告発 補助金疑惑を追及した市役所幹部が突然の異動で「明らかな報復人事」と危機感あらわ
週刊ポスト
新井被告は名誉毀損について無罪を主張。一方、虚偽告訴については公訴事実を全て認めた
《草津町・元町議の女性に有罪判決》「肉体関係を持った」と言われて…草津町長が独占インタビューに語っていた“虚偽の性被害告発”
NEWSポストセブン
当時の事件現場と野津英滉被告(左・時事通信フォト)
【宝塚ボーガン殺人事件】頭蓋骨の中でも比較的柔らかい側頭部を狙い、ボーガンの矢の命中率を調査 初公判で分かった被告のおぞましい計画
週刊ポスト
田久保真紀市長が目論む「逆転戦略」は通用するのか(時事通信フォト)
《続く大混乱》不信任決議で市議会を解散した伊東市の田久保真紀市長 支援者が明かす逆転戦略「告発した市議などを虚偽告発等罪で逆に訴える」
週刊ポスト
古い自民党長老政治の再生産か(左から岸田文雄氏、林芳正氏、加藤勝信氏/時事通信フォト)
《自民党総裁選》小泉陣営に飛び交う「進次郞内閣」の閣僚・党役員人事リスト 岸田文雄氏が副総理兼外相、林芳正氏は財務相、官房長官は加藤勝信氏が“内閣の骨格”か
週刊ポスト
青ヶ島で生まれ育った佐々木加絵さん(本人提供)
「妊活して子どもをたくさん産みたい…」青ヶ島在住の新婚女性が語る“日本一人口が少ない村”での子育て、結婚、そして移住のリアル
NEWSポストセブン
祭りに参加した真矢と妻の石黒彩
《夫にピッタリ寄り添う元モー娘。の石黒彩》“スマホの顔認証も難しい”脳腫瘍の「LUNA SEA」真矢と「祭り」で見せた夫婦愛、実兄が激白「彩ちゃんからは家族写真が…」
NEWSポストセブン
群馬県前橋市の小川晶市長(42)が部下とラブホテルに訪れていることがわかった(左/共同通信)
《目撃者が明かす一部始終》「後ろめたいことがある人の行動に見えた」前橋・女性市長の“ラブホ通い詰め”目撃談、市議会は「辞職勧告」「続投へのエール」で分断も
NEWSポストセブン
本誌記者の直撃に答える田中甲・市長
【ダミー出馬疑惑】田中甲・市川市長、選挙でライバル女性候補潰しのために“ダミー”の対立女性候補を“レンタル”で擁立した疑惑浮上 当の女性は「頼まれて出馬したのか」に「イエス」と回答
週刊ポスト