国際情報

中国の工事現場 作業員に「安全第一」を促す過激すぎる標識

 建設ラッシュの中国で、事故をどう防ぐかは喫緊の課題。安全を促す標語、看板の類にも趣向は凝らされているようで…。拓殖大学教授の富坂聰氏が報告する。

 * * *
 日本の街を歩いていて工事現場の前などを通りかかると、必ず目に入るのが、「安全第一」などと書かれた標語のプレートである。この事情は中国も同じだ。工事現場だけでなく街の至る所にそれは見つかる。

 ただ、かつての中国では乱暴な運転をして乗客を振り落すバスに「為人民服務」などと書かれていて皮肉でしかなかった。だが、それもいまでは大きく変わっているという。

「非正規の労働者が多く、労災などといった意識も低かったかつての労働現場とは違い、いまでは中国も現場の安全には非常に気を使うようになっています。大きな事故が起きれば政治問題になって現地の書記が駆けつけてくる時代ですからね」(地方政府関係者)

 というわけで、いま建設現場などでは安全を呼び掛ける標語が花盛りとなっているのだが、基本的に何を書くかは現場に任されている。

 そうしたなかネットを中心に中国全土に広がった一つの標識の登場が大きなニュースとなった。

 広東省党委員会の機関紙『広州日報』がウェブで伝えた情報によれば、場所は東城主山社区の工事現場である。そこに立てかけられていた看板には、こんな言葉が並んでいた。

〈同僚のみなさん、外での仕事では安全に注意しましょう。もし事故でも起きれば、他人があなたの妻と一緒にベットに入り、あなたの子供を叩くでしょう。そしてあなたが稼いだ金を浪費し、両親を虐待するでしょう。安全に働くことは、あなた自身のためです〉

 注意喚起が目的とはいえ、ちょっと過激すぎる内容だ、

 ネット情報をもとに記者が現場に駆けつけると、看板はもうすでに撤去された後であった。代わりに現場におかれていたのは、

〈もし事故でも起きれば、父母の面倒を見てくれる人はいなくなります。妻の世話もできなくなります。子供を教育することもできなくなります〉

 だった。

 なんとなく前作者の意図は継承されているのだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン