中国側が積極的に自民党若手にアプローチするのは、自民党内の「反中派」議員の台頭を警戒し、新世代の「親中派」議員の養成に注力しているからに他ならない。
その中国側のターゲットとなっているのが、小渕氏を筆頭とする「親中派2世」の自民党議員たちだ。
自民党では伝統的に日中国交回復当時の田中角栄首相、大平正芳外相の流れを汲む平成研(額賀派)と宏池会(岸田派)が中国とのパイプが太い。最近の歴代首相では、故・橋本龍太郎氏(中国人女性とのスキャンダルが国会でも取り上げられた)、故・小渕恵三氏、福田康夫氏らが親中派の代表格だろう。
そのジュニアたちにも中国側がしきりに接触している。
中国人民解放軍の対外工作組織である中国国際友好連絡会の李暁華・副会長が昨年10月に訪日した際、わざわざ議員会館を訪ねて福田元首相の長男・達夫氏、中川秀直・元自民党幹事長の次男・俊直氏という1年生代議士と会談した。ちなみに中川秀直氏は日中関係が冷え込んだ小泉政権時代に政権幹部(当時は政調会長)として訪中し、自民・公明両党と中国共産党との政策協議機関「日中与党交流協議会」の設立を決め、第1次安倍政権での安倍首相訪中の地ならしをした人物でもある。
中国には「井戸を掘った人の恩を忘れない」という言葉があるが、そのジュニアも”別格待遇”のようなのだ。
もう一人、橋本元首相の次男の橋本岳・衆議院議員は今年5月に高村訪中団の一員として訪中し、日中友好議連を代表して中国人民対外友好協会設立60周年記念大会に参列。ホームページではその時の習近平・中国国家主席の演説の印象を「他国との友好交流の歴史を語り、今後もなお重視する旨を述べた堂々たるものでした」と書いている。
※SAPIO2014年9月号