国内

朝日の抗議受けた水間政憲氏 朝日に慰安婦資料無償提供提案

 朝日新聞が、慰安婦問題に関する自社の報道について大々的な検証作業を行ない、一部に「誤報」があったことを初めて認めた8月5日付の朝刊に、実はもう一つ、慰安婦に関する記事が掲載されていた。「SAPIOに本社が抗議文 『引用記事を歪曲』」と題した社会面の記事だ。

 前日の4日に発売された本誌9月号に掲載されたジャーナリスト水間政憲氏のリポート「発掘!朝日新聞の『韓国売春宿』突撃ルポ」が、〈記事に引用した朝日新聞朝鮮版などの内容を意図的に歪曲して朝日新聞社の名誉と信用を著しく傷つけた〉として、本誌と水間氏に抗議し、謝罪と訂正の記事を掲載するよう求める文書を送ったと書かれていた。

 朝日の主張は以下の通りだ。水間氏が引用した朝日新聞朝鮮版は〈朝鮮伝統の妓生(キーセン)を紹介する内容で、「慰安婦」という言葉や慰安婦に関する記述はなかった〉にもかかわらず、〈SAPIOの記事は「朝日の記事を読むことで、戦場慰安婦の多くは高給目当てに妓生から転身したものだった、という歴史的経緯がはっきりするのである」などと記述〉しており〈引用記事を意図的に歪曲〉したものだという。

 後日、抗議文書の現物が編集部に届いたが、何度読み返しても、朝日のいわんとしていることが理解できなかった。

 水間氏は、朝日新聞記者が妓生の実態をルポした1940年9月11日付記事を引用しながら、妓生の大半が〈売笑婦〉、すなわち売春婦であった事実を指摘している。その上でこの資料は、「慰安婦の収入が妓生に比べて高く、多くの妓生が慰安婦に転じていった」という水間氏の過去の研究成果を裏付けるものだ、と論評しているのである。

 水間氏は、朝日新聞からの引用と、自らの論評を明確に区別している。いったいこれのどこが、引用記事の「歪曲」だというのだろうか。それこそ、本誌記事の「歪曲」ではないか。

 そもそもなぜ朝日は、数多ある慰安婦報道への批判記事のなかで、わざわざこの記事を狙い撃ちしたのか。水間氏はこう推測する。

「1991年8月11日付の朝日に『だまされて慰安婦にされた』と証言していた元慰安婦の金学順(キムハクスン)さんは、実際には親に妓生学校へ売られたことを自身が原告となった裁判などで証言していますが、そのことを報じていなかった点について朝日は今回の特集でも〈意図的な事実のねじ曲げなどはありません〉と言い張っている。その上で〈学校を出て資格を得た妓生と遊郭で働く遊女とは区別されていた〉と強弁しています。

 朝日新聞朝鮮版などを読めば、実際には妓生と遊女の区別がほとんどなかったことは分かるはずですが、朝日としては、妓生=売春婦だと認めてしまうと、妓生から慰安婦に転じた金さんが『だまされて慰安婦にされた』と書いたのは誤報だと認めなければならなくなる。だからこそ、抗議をしなければならなかったのではないでしょうか」

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト