国内

東京新聞論説副主幹 「朝日新聞の対応を反面教師にすべし」

 朝日新聞が8月5日、6日、慰安婦問題についての特集記事でかつての報道の一部を取り消した。すると読売新聞や産経新聞、さらに週刊ポストを含めた雑誌などが朝日追及の手を緩めず、批判は収まるどころか、逆に燃え盛る一方だ。いったい、どこに問題があるのか。

 朝日が取り消したのは2点ある。まず戦時中に日雇い労働者の監督組織で動員部長をしていたという故・吉田清治氏の「韓国女性を強制連行した」という証言。それから工場労働者の女子挺身隊を慰安婦と混同して報じた点だ。

 誤報だったなら読者への謝罪と関係者の処分があっておかしくない。だが、朝日は「反省します」と書いたものの、謝罪や処分には踏み込まなかった。そこを「明確な謝罪 避ける」(産経新聞、同6日)などと批判されている。

 朝日は8月28日になって「慰安婦問題 核心は変わらず」という大型記事も掲載した。趣旨は「河野談話、吉田証言に依拠せず」(見出し)というものだ。

 なぜ、こんな記事が出たかといえば、永田町で「朝日報道によって誤った認識が広がり、河野談話につながった」という声が高まったからだ。朝日は河野談話を守る立場から「吉田証言が談話の根拠ではない」と強調している。これは、読者への基本姿勢としておかしくないか。

 慰安婦問題がクローズアップされたのは、朝日が1982年9月に初めて報じた吉田証言がきっかけである。ところが歴史家の秦郁彦氏による現地調査を基に、1992年には吉田証言に対する疑問が新聞、雑誌で報じられていた。

 政府は朝日報道の怪しさに気付いていたから、1993年の河野談話では吉田証言を根拠に採用せず、強制連行の事実も認めなかった。

 だが、そもそも朝日が慰安婦問題を盛り上げたことが、日本が韓国政府と「調整」をして河野談話を出さなければならない状況に追い込まれた大きな要因だ。それなのに当の朝日は「話はデタラメだったが、政府の談話は正しい」と言っているのである。

 さらに問題をややこしくしたのは、河野洋平官房長官(当時)の発言だ。河野は会見で「強制連行はあったか」と問われて、独断で「そういう事実はあった」と答えてしまった。背景には吉田証言と、これも朝日が報じた元キーセン女性の強制連行話の刷り込み効果もあっただろう。

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン