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頻尿で受診する人の2~3割は水の飲みすぎが原因と医師が指摘

 40歳を過ぎると、若い頃と比べて自分でコントロールできなくなってきたと実感するのが「おしっこ」だ。

「夜中、尿意を催して何度も起きてしまう」
「トイレの回数が増え、尿の勢いもなくなった」
「キレが悪くなって、パンツを濡らしてしまった」

 尿の回数が多くなる「頻尿」、尿の勢いが弱くなる「尿勢低下」、尿の残る感じがする「残尿感」など尿にまつわる障害を総じて「排尿障害(下部尿路機能障害)」という。

 デリケートな話で他人には相談しづらいため、一口に「回数が多い」「勢いがない」「キレが悪い」といっても、主観の部分が大きく「自分は正常の範囲なのか」がわからない。

 特に気をつけなければいけないのが、同じような排尿障害の症状でも疾病が原因である可能性だ。命にかかわる感染症である膀胱炎の場合、下腹部の痛みをともなうので自覚しやすい。厄介なのは、前立腺肥大症だ。尿道を取り囲んでいる前立腺が肥大すると、尿道が圧迫され、排尿障害の症状が現われる。

「症状だけでは原因が老化か、前立腺肥大症かは判断できません。前立腺肥大症の場合、放っておくと腎臓からの尿の流れが妨げられ、腎機能障害を起こす人もいます。排尿障害の症状が現われた場合は、専門医を受診して原因を確かめるべきです。前立腺肥大症の治療法としては、薬や手術などがあります」(日本排尿昨日学会理事長・武田正之氏)

「前立腺肥大は前立腺がんに発展するのではないか」と思いがちだが、それは誤解だという。前立腺肥大症(良性腫瘍)が前立腺の内側(尿道を取り巻く部位)に発症するのに対して、前立腺がん(悪性腫瘍)は外側に発症する。

「前立腺がんの初期は、自覚症状はほとんどありません。ですが、前立腺がんも前立腺肥大症も加齢とともに発症が増えるので、前立腺肥大の検査の際に前立腺がんを発見することがある。その意味でも排尿障害を自覚された際には検査を受けることを勧めている」(同前)

 難しいのは、どのくらいの回数や、どの程度の症状なら「大丈夫」とは言い切れない点だ。ところで、「頻尿で受診する人の2~3割は、水の飲み過ぎが原因」というのは東京都リハビリテーション病院診療部長で、東京慈恵医科大学准教授(泌尿器科)の鈴木康之氏だ。

「昨今の健康志向で、水分は摂れば摂るほどよいと考えている人が多く、それが頻尿の原因となっているケースがある。1日の成人の平均的な排尿量は1~1.5リットル。1.8リットル以上の尿が出ているようであれば、水分の摂り過ぎといえるでしょう。適切な水分摂取量にすれば、症状は改善されます」

※週刊ポスト2014年9月12日号

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