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中国広東省幹部が姦通と腐敗で摘発 習氏の共青団閥潰し続く

 中国では最高指導者、習近平・国家主席の肝いりで厳しい腐敗取締りキャンペーンが大々的に展開されているが、そのなかでも広東省での腐敗幹部摘発は異常な状況になっている。

 同省では配偶者や子供を海外に移住させて、不正に蓄財した資産を国外に移したり、不正発覚の際には自身も国外逃亡を図る「裸官」といわれる腐敗幹部が多数摘発されている。その数はこれまでに2190人で、そのうち高級幹部が34人も含まれている。

 最近身柄を拘束された「裸官幹部」のなかで、とりわけ悪質なのは広州市元副市長の曹カンリョウ氏だ。曹氏も妻と子供は米国におり、米国籍を取得している。広東省政府は曹氏について、「妻子が海外に居住していることを良いことに、長期間にわたって11人の愛人と姦通(中国語では『通姦』)関係をたもち、不適切な男女関係を続けていた」と発表している。

 曹氏はこれらの愛人にマンションや自動車を買い与えたり、毎月の手当として10万元(約170万円)を渡していたというリッチぶりだったという。この資金は業者からの賄賂で、省政府は「現時点で分かっているだけでも7000万元(約12億円)もの賄賂を受け取った」ことを明らかにしている。

 曹氏の腐敗が暴かれたのも、曹氏に最近つれなくされていた愛人の一人が広東省政府に曹氏の悪行を通報したためで、「このほかにも、2億元(約34億円)の収賄事件について取り調べを受けている」(省政府)という。

 広州市では、市トップの万慶良・市党委書記が今年6月に重大な規律違反と違法行為の疑いで身柄を拘束され、全職務を解任されており、万氏に続いて、副市長までが解任されたことで、市政府はがたがただ。

 このようななか、中国共産党中央組織部は8月下旬、市の組織立て直しのため、万氏に代わる市トップに任学鋒・天津市副市長を充てる人事を発表した。広州市は広東省の省都だけに、これまでは広東省の有力幹部が就くことが多く、省外からの起用は極めて異例だ。

 任氏のような省外幹部の広州市トップ就任は33年ぶりで、1978年末に改革・開放路線が導入されてからは初めて。

 任氏は天津市の産業開発区幹部を長く務め、海外企業との交流が多く、英語も堪能とされる。北京の共産党筋は任氏について「父親が北京市の元幹部で、習近平氏が中心的役割を果たす太子党(高級幹部子弟)閥の一員でもあり、習近平氏の覚えもめでたいとされている。敵視する共青団(中国共産主義青年団)閥色の強い広東省攻略のために、習氏が任氏を広東省に送り込んだのは間違いない。これで一層、省トップで共青団閥の有望な幹部である胡春華氏の立場は悪くなった」と指摘している。

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