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中国 病院内で倒れた女性を医師や看護師らが救助せず見殺し

 中国湖南省の病院の待合室で、8月17日午前11時過ぎ、診察を終え、医療費の支払いで順番待ちをしていた女性患者が突然、倒れ込んだ拍子に壁に頭を打ち付け昏倒し、意識不明のまま動かなくなった。しかし、病院内にもかかわらず、11人もの医師や看護師が倒れ込んだ女性をみても助けようとせず、死亡してしまった。

 中国内では「人の生命を守る医師や看護師が老人を見殺しにしたのは、医師のモラルが疑われる。中国の医師は金持ちだけを相手にして、貧乏人は見捨てるのか」との批判の声が高まっている。中国メディアが報じた。

 この女性は王偉雲さん(59)で、病院内で倒れた直後、通りかかった女性医師と警備員が駆けつけたが、しばらく女性患者を観察。呼吸が荒くなったにもかかわらず、何ら救命救急措置を施さず、そのまま立ち去ってしまった。

 その後、何人もの医師や看護師が倒れた女性を見ながら、その脇を通り過ぎたが、ようやく男性医師が立ち止まり、心臓マッサージなどを行なったものの、死亡が確認されたという。

 突然の訃報を知らされた女性患者の家族が不審に思い、病院側に監視カメラの映像を見せるよう迫ったが、病院側は拒否し、逆に家族に暴力を振るって、病院から追い出した。家族は当時、一部始終を目撃していた病院の患者から、真相を聞き、警察やメディアに連絡、公表された監視カメラの映像などから事実が明らかになった。

 中国では一般病院は常に患者で混み合っており、医師や看護師の人手が足りない状態。しっかりと診察してもらうには治療費とは別に金品を渡すことが半ば慣例化している。このため、ネット上では「中国の医療体制の貧弱さが生んだ事件」とか、「医師のモラルは地に落ちた」などとの書き込みがみられている。

 病院側はこのような批判に対して「救急患者への対応ができていなかった」としながらも、「すべての医師や看護師の道徳心が高いとは限らない」とコメントし、開き直りとも受け取れる主張を展開している。

 中国では2011年10月、広東省仏山市の路上で2歳の少女が自動車にひき逃げされ路上に倒れていたものの放置され、1週間後に死亡してしまった事件も起き、中国人のモラルの低下が問題になった。今回の湖南省の場合、生命を救うことが仕事の医師や看護師が病院内で、患者を無視するという、まさに中国のモラルハザード(モラル崩壊)を象徴するような事件だといえる。

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