国内

年金 受給開始年齢が65歳から70歳に引き上げなら1000万円減に

 いよいよ年金官僚の悲願である「受給開始年齢」の再引き上げ計画が本格的に動き出した。10月10日、政府の社会保障制度改革推進会議で、清家篤議長が現在65歳の受給開始年齢について「引き上げることもありえる」と宣言した。

 振り返れば「60歳→65歳」に引き上げられたのは2000年の制度改正時。2004年には、小泉政権が「これで年金制度は100年安心」といって、受給額2割カットと保険料3割アップをゴリ押しした。

 そして今回の受給開始年齢の再引き上げ計画である。100年どころか、たった10年しかたっていない。「年金博士」として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏はこう指摘する。

「政府は2019年に行なわれる財政検証までに67~68歳に引き上げることを画策しています。あわよくば70歳までの引き上げを狙っている。その布石はすでに打たれています」

 1つ目の布石は、2012年に成立した改正高年齢者雇用安定法だ。これにより、企業が65歳までの雇用を義務付けられた。過去、定年が55歳から60歳に引き上げられた際にも、受給開始年齢が60歳から65歳へと引き上げられた。65歳定年制は70歳受給開始へのステップといっていい。

 2つ目は、今年5月、田村憲久・前厚労相が受給開始を本人が希望すれば75歳まで繰り下げられる仕組みを検討すると表明したことだ。

 現行制度では受給開始を65歳から1か月遅らせる(繰り下げる)ごとに年金額が0.7%増える。ただし、繰り下げは70歳までしか認めていない。75歳まで繰り下げを可能にすることは、受給開始年齢引き上げのための地ならしと見られる。

 仮に「65歳→70歳」が実現すれば、厚生年金加入者の場合1人当たりざっと1000万円のカットとなる。

※週刊ポスト2014年10月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン