ビジネス

かっぱ寿司買収 回転寿司は「高級化」「立ち食い」で二極化

郊外のロードサイド店も多い「かっぱ寿司」

 いまや5000億円規模の市場に拡大し、外食産業で不動の人気を誇る回転寿司だが、覇権争いが慌ただしくなっている。

 居酒屋の「甘太郎」「北海道」、焼き肉店の「牛角」などを運営するコロワイドが、回転寿司大手の「かっぱ寿司」(カッパ・クリエイトホールディングス)をTOB(株式公開買い付け)で買収すると表明したからだ。

「か~っぱ、かっぱ、かっぱのマーク」のCMでお馴染みのかっぱ寿司は、100円均一の低価格回転寿司チェーンの草分け的存在で、長年、業界トップの座に君臨してきた。

 現在も全国に約340店あり、売上高では「スシロー」の1193億円(2013年9月期)に次いで2位と巨大勢力なのだが、近年は赤字経営に苦しみ、度々“身売り話”に苛まれてきた。

 外食ジャーナリストの中村芳平氏が解説する。

「2007年にカッパ創業家の株を牛丼『すき家』を運営するゼンショーホールディングスに売却したり、昨年には回転寿司5位で勢いに乗る『元気寿司』との統合方針を示したりするなど、経営効率の健全化と生き残りに必死でした。

 しかし、いくら経営権は他社に譲っても、かっぱ寿司の名前やブランドまでは売り渡したくないという創業家との折り合いがつかず、結局、業績は一向に回復軌道に乗ってこなかったのです」

 今年の4月からは、ついに「1皿108円(2カン)均一」の旗印を下ろし、“大粒こぼれいくら”(194円)など高価格メニューも充実させて巻き返しを図っていたが、時すでに遅し。回転寿司業界の関係者がいう。

「かっぱ寿司は原価率を抑えすぎたために、ネタに対する顧客満足度が年々落ちていた。そのうえ、サイドメニューで話題をさらうスシローや『くら寿司』に客を奪われ、あっという間に優位性がなくなってしまった。一度失った人気を取り戻すのは容易ではない」

 コロワイドは、かっぱ寿司の買収により、ワタミなどを抜いて外食業界4位に躍り出るというが、果たして落ち目の回転寿司チェーンをどう立て直すのか。

「食材の仕入れや調理人の見直しはもちろん、郊外型の不採算店を閉店するなど店舗のスクラップ&ビルドを加速させていくのは間違いありません。

 コロワイドとしても、酒離れで祖業の居酒屋業態が苦戦する中、M&Aで手に入れたファミリー向けのレストラン業態をさらに強化して、各ブランドの相乗効果も見込みたい。

 例えばビル1棟丸々借りて、1階/かっぱ寿司、2階/牛角、3階/北海道なんてコロワイド系列店で占める場所も増えてくるかもしれません」(前出・中村氏)

関連記事

トピックス

手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン