都内のある焼肉店の店主はこう語る。
「いまでもレバ刺しや牛刺しを求められることはあるよ。そりゃあ、出したいのはやまやまだけど、うちの設備ではユッケや牛刺しも法をクリアできないし、レバ刺しに至っては抜け道はない。保健所の検査も昔に比べたら格段にうるさくなった。他の客の目もあるなか法を踏み越えるリスクまで負えないよ」
リスクを犯せば、課せられるペナルティも大きくなる。そして求める客がいるからこそ、飲食店はリスクを犯す。罰が待っているのは店だけだ。店は客自身の姿を写す鏡である。好みの店を支えるか、つぶすかは客の振る舞いにかかっていることを、一人の客として自覚したい。