国際情報

高須院長 イスラム国を分析「わらしべ長者みたいなもの」

イスラム国について語る高須院長

 高須クリニックの高須克弥院長が世の中のさまざまな話題に提言していくシリーズ企画「かっちゃんに訊け!!」。今回は、イラクとシリアにまたがり実効支配を続けるイスラム過激派組織「イスラム国」についてお訊きしました。

 * * *
──今回はイスラム国の話題です。オバマ大統領はイスラム国掃討を目指し、最大1500人の米兵のイラク増派を承認。さらに、米軍などの戦闘機が11月8日にイラクでイスラム国幹部の車列を空爆したとも報じられました。カリフ(最高指導者)のアブバクル・バグダディが致命傷を負ったとの情報もあるようです。

 さて、そんなイスラム国ですが、大きな特徴が世界各国から戦闘員が集まっているということ。日本からも北海道大学の学生がイスラム国に参加するために渡航を計画していた事件もありました。

高須:イスラム国に行く人にはいろんな理由があるとは思うんだけど、中には世の中のためになると思っている人もいるんだろうかね。イスラム国は、一部の富豪が専有している石油の利権を取り上げて、貧しい人々に分配しているんだ…って認識しているというか。でも、それはちょっと違うと思うんだよね。

 たしかに、イラクやシリアの貧しい人々がイスラム国に寄りすがっている部分もあるのかもしれないけど、これで貧富の差が埋まるものではないよ。それに、イスラム国が活動しているのがサウジアラビアとかUAEなら、貧しい人のためだということにもなるのかもしれない。でも、彼らが支配しているのはイラクとシリアだからね。その地域が政治的に不安定だったから、たまたま活動ができているだけなんだよ。単純に、内乱に乗じて組織の勢力を広げているだけだと思う。

──そして、イスラム国は兵士を集める戦略が上手かったといわれています。ネットを上手に利用したっていう。

高須:兵士の給料もいいんでしょ? 貧しい人なんかをリクルートするには、そりゃあ有効だよ。少なくとも兵士の数を揃えるには、これが手っ取り早い。日本の戦国時代なら、織田信長がまさにそれだよね。信長は楽市楽座でお金を稼いで、それを兵力に注ぎ込んだから強かったわけだ。武田信玄なんかは、考え方が古くて農民たちを兵士として駆り出してたから、収穫の時期とか田植えの時期にはものすごく弱くなっちゃってたけど(笑い)。

──給料が良いということは、海外からの戦闘員集めにも一役買っているそうでうす。傭兵にしてみたら、かなり魅力的な組織だともいわれています。

高須:そのあたりがイスラム国の巧みなところなんだろうね。石油で稼いだお金をばらまいて、戦力を高めていくっていうね。もちろん、戦闘員もイスラム教徒ばかりではないんだろうね。

──ただイスラム国の掲げている目標はかなり大きいんですよね。歴代イスラム王朝の領土を取り返し、イスラム世界の統一を目指していると言っています。その領土というのが、北アフリカの大半と中東から中央アジアにかけて、そしてバルカン半島とイベリア半島も含まれています。

高須:いやあ、たしかに今はそんな大きな風呂敷を広げているけど、もともとはそこまでの理想を掲げて始まったものではないような気がするけどなあ。そもそもいくつかあったイスラム過激派組織の中のひとつなわけでしょ。それが、イラクやシリアの不安定な情勢の中で、わらしべ長者みたいに徐々に大きくなってきただけだと思うけどねえ。

──たしかに、“イスラム世界のため”というよりも、イスラム過激派組織同士の勢力争いの中、資金力と宣伝力が高かったイスラム国が、たまたま今いちばん上に立っている、というイメージですよね。

高須:大義のある戦いではないと思う。そもそもバグダディという人も、あくまで自称のカリフだし、ほかのイスラム国家は認めていないわけだしね。「お、なんか自分の組織が強くなってきたぞ。これならカリフになれるんじゃないか!?」っていう感じで、カリフを宣言しただけのはず。高尚な理想があったわけではないと思う。本当に立派な人だったら、宗教会議みたいな場所を設けて、そこに出てちゃんと議論すればいい。そういうことをしないで、ただ戦争をしているっていうことは、ただ単に一国の主になって、領土を広げたいだけの人なんだよ。

 * * *
 過激派組織同士のパワーゲームの中で、たまたまのし上がったのがイスラム国であると分析する高須院長。しかしながら、イスラム国の武力が絶大なものであり、その結果アメリカを筆頭とした世界中が苦慮しているのも事実。オバマ大統領いわく「新たな局面に入った」というイスラム国掃討作戦だが、果たして今後どうなるのか…。

【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。

 昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』(新潮OH!文庫)、『私、美人化計画』(祥伝社)、『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』(KKベストセラーズ)、『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン