国内

ウォルフレン氏 日本人は「プーチン=悪」の米宣伝信じ込む

 30年以上にわたって日本政治を研究してきたカレル・ヴァン・ウォルフレン氏(アムステルダム大学名誉教授)は安倍政権の「官邸主導」は日本の大メディアと官僚が作り上げた虚構だと指摘する。
 
 記者クラブ制度をはじめ数々の既得権を持つ大メディアにとっては「現状維持」が望ましいが、この点でメディアと官僚の利益が一致、安倍首相が何かを決断しているかのような虚構を国民に振りまいているというのだ。ウォルフレン氏はこうした「現状維持中毒者」が日本を危うくすると警鐘を鳴らす。

 * * *
 日本国民は「虚構」の存在に気付き、現状を打破するために声をあげなければならない。現在の世界情勢は「現状維持中毒者」による意思決定で乗り切れるほど甘くはないからだ。

 米ソ冷戦の時代は、確かに核戦争の恐怖は存在したが、その一方でバランスの取れた「予測可能な世界」であったとみることもできる。日本は共産主義の脅威から逃れるために、ひたすらアメリカに付き従っていれば良かった。

 その後ソ連が崩壊して冷戦が終結した時、多くの人々は民主主義に基づく理想的な世界が訪れることを期待した。だが、現実は違った。アメリカの権力者は、新しい敵を必要とし続けた。そして米軍はイラクやアフガニスタンの泥沼に足を踏み入れていった。

 現状維持を志向するメディアと官僚は「ひたすらアメリカに付き従えばいい」という冷戦時代そのままの価値観を流布しようとするが、それを信じれば国益が著しく損なわれることになる。

 今年勃発したウクライナ危機が日本でどう報じられたかを見るだけでもそれはよくわかる。日本では、民主化運動の盛り上がりによってウクライナ国内に混乱が生じた隙に、ロシアのプーチン大統領がクリミアを併合して領土の拡大を図った、と理解されている。

 しかし、真実は全く違う。ウクライナ危機は、アメリカが中央ヨーロッパやアジア地域での支配権強化を目論んでいるがゆえに起きたものだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン