どれも戦時中のプロパガンダ映画さながらの政治的意図を感じる。韓国では映画振興に国家の助成金もつぎ込まれているが、これら反日映画に政府の意志が働いているのか。
韓国映画界で働いた経験を持つソウル在住日本人にラインナップを見せたところ、「これらの映画の配給は、メジャーではなく、独立系のインディーズ会社が担っている。政府の関与はほとんどないのでは?」といった感想を語りつつ、こんな分析を続けた。
「朴槿恵政権になってから、日本を悪役として描く映画が増えているという印象がある。これは“日本憎し”というよりは、韓国国民の自尊心を満足させるために作られていると思う。韓国人を英雄化しやすい、こうした題材が選ばれていると私は考えています」
逆にいえばセウォル号事件のような社会問題が噴出し、経済の凋落も甚だしい昨今の韓国では、国民の自信が喪失しかけているのかもしれない。しかし、そのはけ口が日本ではたまったもんじゃない。
誤った歴史認識をこれ以上蔓延させないために、こうした反日映画に国家として注視する必要があろう。
※SAPIO2014年12月号