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息子と同じ場所で眠りたい 菅原文太さん、太宰府天満宮に納骨

 11月28日に肝不全で亡くなった菅原文太さん(享年81)。彼は晩年、妻(72才)とともに、山梨県にある小さな家で暮らし、自宅前のビニールハウスで唐辛子や大根などの野菜作りに精を出す日々を送っていた。

 文太さんは2001年10月、当時31才で俳優として活動していた長男・加織さんを踏切事故に遭って亡くしている。最愛の息子を亡くした文太さんの悲しみは、想像を絶するほど深いものだった。「おれはもう、仕事はできない」と繰り返すようになり、自宅にこもることが多くなっていった。

「自宅の神棚に息子さんの霊璽をまつり、彼の愛用のギターを並べて、それをじっと見つめてばかりいるんです。あの頃の文太さんは、24時間、亡くなった息子さんのことしか考えていませんでした」(文太さんの知人)

 加織さんは生前、神道を信仰しており、文太さんは彼の遺骨を神道の聖地に納骨することにした。それが、福岡県の太宰府天満宮だった。同じ“菅原”姓の菅原道真を祭神としてまつり、全国天満宮の総本社であるこの地に、息子を眠らせたのだ。

「納骨からまもなく、文太さんは天満宮の近くにマンションを購入しました。“息子の側にいたいから”って、仕事がないときはここで暮らし始めたんです。息子さんの眠る祖霊殿にも、夫婦でよく参拝されていました」(前出・文太さんの知人)

 毎年紅葉の季節になると、全国各地から大勢の参拝客が絶えず訪れる天満宮だが、本殿から500mほど離れた祖霊殿は人気も少なく、ひっそりとたたずんでいる。今年の10月初旬、静寂の中、この祖霊殿の納骨堂に、文太さんと妻の姿があった。

「白木の祭壇の前で、息子さんの遺骨に長い間じっと手を合わせていました…」(居合わせた参拝客)

 その日文太さんは、加織さんの御霊に特別な思いを込めて祈りを捧げていたのかもしれない。今回、文太さんの葬儀は同じく天満宮の祖霊殿で営まれたが、これも生前の彼の強い意志だった。

「“先立った息子と同じ場所で眠りたい”って、ずっと言っていましたから。納骨もこちらで済ます予定だそうです。文太さん、息子さんが亡くなってからは、天満宮の神徒会に入会されていたんですよ。奥さんもまた、元々はクリスチャンだったんですが、息子さんの死をきっかけに神道に転宗されています。ご夫婦にとって、ここは息子さんとの“約束の地”となっていたんです」(前出・文太さんの知人)

 何度も通った太宰府の森。お骨となった父・文太さんはきっと天に向かって穏やかに語りかけたことだろう。「息子よ、見てるか」と。

※女性セブン2014年12月18日号

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