日本経済の命運を握る日本銀行。隅田川に架かる永代橋近くに1882年に開業したが、富国強兵、殖産興業を推し進めるにふさわしいスケールが必要だとして、江戸幕府の貨幣鋳造直轄地「金座」があった日本橋に新たに建設されることになった。
「日本初の建築家」の一人として知られる辰野金吾は、設計のために欧米で1年余り銀行建築を視察した。
地上3階、地下1階の建物は中庭を囲んで「コの字型」に配置され、入り口に障壁が造られるなど、さながら砦のよう。外観は“辰野式”と異なり、全体を石で覆い威厳が演出された。建築様式は、正面と左右に柱を配したバロック様式に、窓を規則正しく並べたルネサンス様式を加えた「ネオ・バロック様式」。
日本で2番目のエレベーターや水洗式トイレなど、当時の最新設備も導入された。1974年に国の重要文化財となり、現在は一般見学が可能。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2014年12月19日号