●2位/デミオ(マツダ)
マツダのコンパクトカー「デミオ」は、鼓動デザインと称するデザイン戦略を取り入れた躍動感あふれるスタイリング。
コンパクトカーとしては出色の乗り心地の良さと走行安定性、スカイアクティブテクノロジーと名づけられた新世代環境技術を投入した1.3リットルガソリンエンジンと1.5リットルターボディーゼル、6速自動変速機の完成度の高さなど、エコカーを魅力的なものにというマツダの情熱が結実したモデルだ。
デミオを魅力的クルマにするためにマツダが払った努力はひとかたならぬものがある。その最たるものがデザインだ。デミオのエクステリアは曲線を多用したダイナミックなものだが、実は今日、このようなデザインを全長の短いコンパクトカーに適用するのは簡単ではない。
フロント部分は万が一の事故のときに歩行者を保護するため、ボンネットとエンジンの間に大きな空間を持たせなければならない。また、燃費性能を上げるために空力の良いフォルムにするのも大事なことだ。ゆえに最近の日本のコンパクトカーは、フロントは分厚く、リアバンパー付近は空力形状で両サイドをスパッと切り落としているという、どれも似たような格好になってしまっている。
マツダのデザイナーは「衝突安全や空力形状のためなんだから格好がこうなるのは仕方がない」という考えを捨て、あくまで格好良く見せるのが最優先と、性能を維持したままそうとは見えないデザインを必死に工夫した。その結果、ライバルモデルとデザイン面で大きく差別化することに成功したのだ。
エンジンは、燃費性能と動力性能の両面で優れたスペックを持つディーゼルが大いに注目されている。実際、ディーゼルの燃費は良く、燃費に不利な山岳路でも攻め込んだ走りをしなければ20km/リットルは悠々と上回ることができた。
ガソリンエンジンも悪くない。CVTに比べて市街地燃費は不利といわれる6速ATながら、トルクコンバーターを極力滑らせない制御によって十分に良い燃費を実現している。また、エンジンを回したときの不快な振動やノイズも少ない。
乗り心地も良好で、マツダのうたう「ロングレンジ(長距離)ドライブ」への耐性は実際高い。広さと燃費だけがとりえという感の強い日本のコンパクトカー市場に一石を投じるモデルと言える。