ビジネス

日本の医療制度 病院から患者を引き離そうとする動き強まる

 ハイペースな物価上昇に加え、年金保険料や健康保険料などの社会保険料引き上げが家計に思い負担となってのしかかっている。さらに、今後の社会保障費負担はますます重くなることが予想されている。家計の見直し相談センター・藤川太氏が、近未来の医療制度のイメージについて解説する。

 * * *
 2013年に成立した社会保障プログラム法で決まった通り、2014年4月から70~74歳の高齢者の窓口負担が1割から2割に引き上げられました。2015年1月には限度額を超えた医療費を補助する「高額療養費制度」の所得区分が見直され、それまで年収770万円以上の高所得者は一律約15万円だった上限額が、年収770万以上~1160万円未満は約17万円、1160万円以上は約25万円へと引き上げられます。

 こうした高齢者や高所得者の負担が増すだけでなく、病院から患者を引き離そうという動きも高強まっています。

 ひとつが医療機関へのアクセス制限です。紹介状なしで大病院を訪れる患者に自己負担を強いる方針が出ています。さらに、欧州で普及しているゲートキーパー(門番)の導入も検討されるかもしれません。これは病院などを受診する前にゲートキーパーが患者の容体を診て、診療の必要性があるかどうかを決める仕組みです。医師に診てもらうことができなくなれば、市販薬を使うことが増えるでしょうから自己負担は増す一方になります。

 もうひとつ想定されるのが平均入院日数を従来の32日程度から欧米並みの8日程度にまで大幅短縮するという動き。無理やり退院させてまた悪化すれば再入院となり、病院側はもちろん、患者側にも余計に負担がかかるといった本末転倒な事態も予想されます。

 また、年金同様、これまで保険料を実質負担してこなかったパートなど短時間労働者に健康保険料の徴収範囲を拡大する動きも起こってくるでしょう。

※マネーポスト2015年新春号

関連キーワード

関連記事

トピックス

解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
教員ら10名ほどが集まって結成された”盗撮愛好家グループ”とは──(写真左:時事通信フォト)
〈機会があってうらやましいです〉教師約10人参加の“児童盗撮愛好家グループ”の“鬼畜なやりとり”、教育委員会は「(容疑者は)普通の先生」「こういった類いの不祥事は事前に認知が難しい」
NEWSポストセブン
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン
4月12日の夜・広島県府中町の水分峡森林公園で殺害された里見誠さん(Xより)
《未成年強盗殺人》殺害された “ポルシェ愛好家の52歳エリート証券マン”と“出頭した18歳女”の接点とは「(事件)当日まで都内にいた」「“重要な約束”があったとしか思えない」
NEWSポストセブン
「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン