国内

安田浩一氏「在特会は崖っぷち状態まで追い詰められている」

 活動初期から「在日特権を許さない市民の会」(在特会)を追い続け、言動の危うさを伝えていたのがジャーナリスト・安田浩一氏だ。ヘイトスピーチ批判の高まりや、橋下徹・大阪市長との「意見交換」という名の罵り合いなどもあり、一般に認知されるようになった同会だが、安田氏は設立以来の岐路に立っていると見る。

 * * *
 2006年末、桜井誠氏を会長に担ぎ上げ、取り巻きのネット右翼が集まって結成された在特会。設立当時わずか500名だった会員は現在、1万5000人にまで増えた。いまも全国各地で毎週末、主に在日コリアンを標的とした差別デモを繰り返している。

 だが、そんな在特会も、ここに来て設立以来のピンチに見舞われている。

 在特会の顔として君臨してきた桜井氏が、昨年11月末に突然会長を辞任したのだ。組織の運営費をめぐるトラブルなども噂されるが、ある地方支部幹部は次のように答える。

「橋下会談などで確かに知名度は上がりましたが、同時にヘイトスピーチの代名詞のように会が世間から認識されてしまっているのが現状。そう見られることが嫌で、実は活動から離れる会員も後を絶たない。機能停止状態にある地方支部も少なくありません。

 本来ならば桜井さんが軌道修正を図ればよいのですが、それでは会を支えてきた強硬派の会員が納得しないのです。そこで新しい顔を立てることによって、世間のイメージを変えていきたいといった思惑があるようです」

 言い換えれば、社会的批判が在特会を追い詰めていることになる。実際、風当たりは厳しい。異様な差別デモの光景は国際社会にも波紋を呼び、2014年8月にジュネーブで開催された国連の人種差別撤廃委員会においても、日本政府は各国委員から手厳しく対応の甘さを指摘された。

 さらには昨年末に発表された警察庁の『治安の回顧と展望』も、極端な排外主義を主張する団体として、初めて在特会を名指し。違法行為への懸念を指摘している。

 差別デモに反対する“カウンター”の動きも在特会にダメージを与えた。昨年末に京都で行われた在特会系のデモには、35人の隊列に対して400人近くの学生や一般市民が“デモ封じ”に参加。デモ隊の主張はカウンター勢の怒声にかき消された。

 また、2009年に起きた京都朝鮮学校襲撃事件(在特会メンバーらが同校に押しかけ授業妨害した事件)の民事裁判では、在特会側に約1200万円の損害賠償を求める判決が、やはり昨年末に確定した。

 ヘイトスピーチの担い手として注目を集める在特会だが、もはや崖っぷちの状態にまで追い詰められているのだ。

※SAPIO2015年2月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン