注目されているのは両氏の専門の違いである。日比氏は「日本消化器内視鏡学会指導医」で日本消化器免疫学会理事長などを歴任。潰瘍性大腸炎の診断、治療法研究の専門家として知られているのに対し、高石氏は「がん治療認定医」「がん薬物療法指導医」などの資格を持ち、大腸炎そのものではなく、症状が悪化して腫瘍ができた場合の治療が専門である。
しかも、2年前の日比氏の定年退職のタイミングではなく、この時期に「腫瘍」が専門の高石氏が主治医になったことに、会合では関心が集まった。出席した議員が語る。
「当然、腫瘍が発見されたんじゃないかという話になった。総理は肉が大好物で酒もよく飲んでいるようだが、潰瘍性大腸炎には脂っこい食べ物や酒は禁物。いくら症状が良くなっているとはいえ、あんな食生活は好ましくないと同席した医師も心配していた」
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に潰瘍ができやすい原因不明の難病だが、専門医の間では、長期間(10年以上)患っている患者は大腸がんになりやすいことが知られている。安倍首相が最初に潰瘍性大腸炎の診断を受けたのは20代半ばの頃で、すでに30年が経つ。
※週刊ポスト2015年1月30日号