ここでも、日本軍の果たした役割は大きい。植民地の人々に軍事訓練や教育を施して集団として統率し、独立への手助けを行なった。こうした発想は欧米の帝国主義国家には全くなかった発想だ。
日本軍がアジアを占領するために暴走したということが誤りであるとわかる印象的なスピーチを、イギリスが支配していたインドで国民軍の司令官だったチャンドラ・ボースが1943年に来日した際に行なっている。
そこで彼は「日本がアジアの希望の光だ」とはっきり述べているのだ。彼は日本軍がインド独立のための千載一遇の機会を与えてくれたことに感謝した。これはシンガポールやビルマなどアジア諸国に共通する思いだ。
日本軍がマレー半島に進攻すると、イギリス軍はなすすべもなく降伏してシンガポールが陥落した。イギリスだけでなく、オランダも含めた西洋の帝国軍が敗れてしまった。
戦後の「東京裁判」はその怨念を晴らす場となり、アジアの解放を目指した軍人は悉く連合国側の論理で「戦犯」として裁かれた。
その後の戦後教育でも、日本がなぜ戦わなければならなかったのか、戦争で日本軍が果たした意義などはタブー視された。このため、現代の日本人は当時の日本軍の功績をほとんど知らないままだ。
しかし、私は希望を感じている。今も続く“占領体制”の呪縛を日本国民が解く日は必ず来ると信じている。
●取材・構成/大木信景(HEW)
※SAPIO2015年2月号