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『中国嫁日記』作者 「ある日、いきなり無一文生活」を激白

著書にサインをする井上純一氏

 40代のオタク男性と一回り以上年下の中国人妻・月(ゆえ)さんとのカルチャーギャップ満載な生活を描いた人気エッセイマンガ『中国嫁日記』(KADOKAWA エンターブレイン)。1月末に最新4巻が発売された数日後、作者の井上純一氏は新ブログ『月サンは困ってます』で会社の金銭トラブルに巻き込まれたと告白した。累計80万部の人気シリーズを持つベストセラー作家の財布が、なぜからっぽになったのか。井上氏が今の状況を語った。

 * * *
井上純一(以下、井上):昨年9月に日本へ一時帰国したとき、会社の銀行口座を確認したら40万円しかなかった。私が社長ですが、会社から給与をもらう形にし中国に住んでマンガに専念していたので、会社のお金は日本と中国を頻繁に往復しているフィギュア部門専従のスタッフにまかせていました。

 いったい何が起きているのかと驚いていたら、税金未納で会社の口座を差し押さえるという税務署からの通知が来ていることも分かりました。まかせていたスタッフとはなかなか連絡が取れないし、何も聞かされていなかったので、これから先どうするんだとショックでした。

――どのくらい滞納になっていたんですか?

井上:約1500万円です。でもこれは、自分が確かめたときの翌月に一括で支払った場合の額でした。銀行口座に40万円しかない有様では当然、払えません。最終的には利息がつくので1700万円くらいになります。本当に税金はすぐに払ったほうがいい。今は最悪の状態を脱しましたが、会社の税金滞納がわかったときは生活費の確保もあやしい状態でした。

――支払いはこれからになるんですね。

井上:税務署へ事情説明にいきました。そこで会社の状況を話したら、いたく同情されまして(苦笑)。それまで税務署にはとても怖いイメージがありましたが、親切でしたよ。税金を払うという意思を伝えたら、税務署は口座の差し押さえをせずに待ってくれることがあるんです。

 税金のために『中国嫁日記』4巻を出版して印税を得なければならないので、問題を起こしたスタッフの対処と、会社の資金繰りに苦しみつつ必死でマンガを描いていました。そして、生き残るためには今の状況をマンガにするしかないと思いました。そう思わなければ耐えられなかった。もっとも、裁判も視野に入った現在進行形の出来事なので、新ブログ『月サンは困ってます』は必ずネームを弁護士の先生に監修していただいています。

――井上さんが社長をつとめる銀十字社の業績は悪くないはずなんですね。

井上:銀十字社を立ち上げたのは今から8年くらい前です。個人で同人フィギュアを作っていたとき、中国への送金など経理上の都合から設立しました。その後、協力会社がつぶれて玩具部門を引き受けたので、マンガの制作部門とフィギュアの企画製作部門の2部門からなる会社になりました。今回、お金がなくなったのはフィギュア部門からです。

 マンガだと黒字しかありえないんです。アシスタントなしに私が一人きりで描いていますから人件費が私だけ。その代わり、マンガを描くためにフィギュアの仕事に専従できませんでした。フィギュアにお金がかかることは分かっているので、スタッフまかせでとくに細かいチェックをせずにいたら法人税が滞納され、数千万円の負債が積みあがっていた。

――無防備に信用するからお金が無くなるのだと指摘されそうですが?

井上:起きてしまったことについては、ひとつずつ対応していくしかありません。ご迷惑をかけた人には謝るしかない。でも、スタッフを信じないと一緒に仕事はできなかった。少なくとも私はそうだったんです。だから、信じずに仕事をするという選択肢はありえなかった。

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