国際情報

中国「親ばかトリオ」の一人 失脚幹部らと親密関係で危機に

 中国の李源潮・国家副主席とすでに「重大な党規律違反」などで失脚した令計画・元中国共産党統一戦線部長との親密な関係が取り沙汰されている。また李氏の息子絡みのスキャンダルが表面化し、失脚説も囁かれている。息子の件では、薄熙来・元重慶市党委書記や令氏とともに、「親ばかトリオ」と呼ばれており、その去就に注目が集まっている。

 李氏は中国共産主義青年団の出身で、文化大革命(1966~1976年)時代に上海師範大学を卒業し、いったんは高校の数学教師として奉職。文革後、上海の名門、復旦大学の数学科に入り、共青団の幹部として頭角を現した。1983年から1990年まで北京の共青団本部で中央書記処書記を務めた際、1984年に共青団トップの第一書記に昇格した胡錦濤氏(前国家主席)と知り合い、その能力を認められて、中央での地歩を固めた。

 胡氏が1992年に党政治局常務委員に抜擢されると、当時党対外宣伝部幹部だった李氏は胡氏に取り立てられて、文化省次官や江蘇省トップを経て、2007年には党政治局入り。2012年の党大会では政治局常務委入りするとの下馬評でもちきりだったが、政治局員に留任。次期党大会での常務委入りは確実視されている。

 ところが、同じく共青団の若手スターと称された令計画氏の失脚で、李氏の輝かしい将来もくすんだものになりそうな気配が濃厚となっている。

 というのは、令氏は息子の令谷氏が黒いフェラーリに2人の全裸に近い女性を乗せた末に、自動車事故を起こし死亡。令氏は事件を闇に葬り去ろうとして頼ったのが、政法部門を統括していた周永康・党政治局常務委員だった。周氏は令氏と密接な関係を保つ。その直後、周氏と極めて近い関係の薄氏が失脚する。薄氏は李氏とも親密な関係を築いていたため、李氏は周氏と令氏と3人で事後の対策を協議。それが、胡氏に知られ、李氏の信頼は揺らぎ、確実視されていた政治局常務委入りも逃すことになる。

 李、薄、令の3氏に共通するのは「ばか息子」の存在だ。薄氏の息子はハーバード大学に留学中、赤いフェラーリを乗り回し、派手な女性関係を続けことが噂となり、結果的に薄氏の汚職疑惑が深まった。令氏の息子もしかり。

 李氏の息子、李海進氏は父親同様、復旦大を卒業後、ハーバード大で学び、エール大学で経営学修士(MBA)を取得。実はこの間、パトロンともいえる中国企業の創業者が学費や生活費など一切の面倒をみており、この裏には李源潮氏の指示があったといわれている。

 ここにいたって、李氏の汚職絡みの黒い噂が浮上しており、令氏らのとの関係からも「腐敗摘発の網にかかりそうな最も可能性がある『大トラ』の一人」と米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」は指摘していることから、いまや李氏ほどその言動が注目されている大物幹部はいないと言われるほどだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
《実は既婚者》参政党・さや氏、“スカートのサンタ服”で22歳年上の音楽家と開催したコンサートに男性ファン「あれは公開イチャイチャだったのか…」【本名・塩入清香と発表】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン