国際情報

GDPで日本の2倍の中国だがいまだ日本抜きで経済成り立たない

 中国のGDP(国内総生産)はすでにドルベースで日本の約2倍となった。しかし、実態は「張り子の虎」。いまだ日本抜きで中国経済は成り立たない。中国の製造業は日本企業の製品や技術が支えているといっても過言ではない。企業のコンサルティングを行なうなど中国ビジネスに詳しい高田拓氏が語る。

「例えば、白物家電でトップクラスの世界シェアを誇る中国の家電メーカー・ハイアールの冷蔵庫を分解してみると、特に上位機種ほど、コンプレッサーなどの基幹部品はパナソニックなど日本製が使われています」

 他にも、2008年にノンインバーターエアコンで世界市場1位だった中国メーカー・珠海格力電器(グリー・エレクトリック)と業務提携した空調大手のダイキン工業は、同社に独自の「インバーター技術」を供与。代わりにグリーのコスト競争力を得ることで、かつてはゼロに近かった中国国内のインバーター機普及率を6割近くまで高めた。

「最近では中国市場に数多くあった日本ブランドの家電製品、携帯電話の影が薄くなっているが、ハイアールやダイキンの例に見られるように、基幹部品や技術で多くの“日本製”が内蔵されている。つまり、日本企業は『BtoB』に構造転換しているのだ。一見して見えにくいが、実は日本が中国企業の躍進を下支えしているといえる」(高田氏)

 自動車でも同じことが言え、サプライチェーンの上流部、付加価値の高い分野で日本企業の製品は大きな存在感を発揮している。中国で組み立てられるスマートフォン「iPhone6」は、部品の半数が日本製で構成されている。

 日本の技術力がなければ、世界第2位の中国経済もまた、なかった。『日本経済がなければ中国・韓国は成り立たない』(海竜社刊)を上梓した真壁昭夫・信州大学教授が語る。

「輸出入を合わせた中国の貿易量では、日本が3位の相手国(香港を除く)。日本より上位の欧州と米国はどちらもGDP16兆ドル前後、人口も3億人を超える。日本はそれらに比べて人口も経済規模も小さいが、中国経済に占める存在感は大きい。

 中国への直接投資でも、2014年は前年比38.8%減と大きく落ち込んだが、それでも2位を占めている。数字に表われない技術移転も多いから、総合的に見れば、中国の日本への依存度が高いことがわかる」

※SAPIO2015年3月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン