ファンの方も交流の時間として重要視しており、「物販が本番」などと言われるほどです。その重要さは、出演時間の平均が15分程度であるのに対し、物販時間が1時間あることからも伺えます。
物販では2ショットチェキや音源が販売されています。チェキは500円か1000円が相場で、音源はCDショップで販売されているものと同じくらいの価格帯です。つまりワンコインあれば物販で地下アイドルと交流することが可能なのです。
そこで稼ぐために地下アイドルが力をいれているのが、趣向を凝らして制作するオリジナルグッズです。周囲の地下アイドルと差をつけるために、実家に眠っていた通知表のコピーを販売している子もいました。金額に相場がなく、商品をすべて買い揃えてしまったファンの方にも売れるためでしょう。「物販で食うためには、思い出でもなんでも売る」と話していました。この雑草魂こそ、地下アイドルの醍醐味かもしれません。
距離感の近さが特徴の地下アイドルですが、少人数のオフ会が開催できるのも魅力のひとつだと思います。私がいままで見た中でもっとも商魂たくましいなと思ったのは、ペンションでのお泊り会でした。ペンションは友人の持ち物なのでタダ。ごはんは和気あいあいとしていて且つコストのかからない鍋。そしてお風呂に一緒に入れるというサービスで、価格を数万円に釣り上げるのです。
サービスもここまでくると、もはやアイドルと呼んでいいのか疑問ですが、参加者が10人だとして、ひとり10分ずつ一緒に入浴しても、100分は入浴し続けなければならないという点が、同じ人間としてとても心配でした。
しかし、好きなアイドルと一緒にお風呂に入れるなんて、その子のファンにとっては稼いでいる本人よりも、景気のいい話なのかもしれません。ただしオフ会は参加へのハードルが高く、常連のファンばかりが集まりがちです。そうなると、新規ファン獲得を遠ざけやすいため、開催するかどうかは運営の考え方次第だと思います。
地下アイドル活動で培ったキャリアや知名度を活用して、メイド喫茶で働いたり、所属事務所で後輩アイドルのマネージメントやプロデュース業にまわったりする収入方法もあるようです。いずれの仕事も、地下アイドル時代からリーダーシップを発揮していた人が活躍している気がします。
あと、地下アイドルは普通に働いているものです。私の周囲には正社員の子も多くいます。プライベートで仕事が安定している子の方が、地下アイドル活動も安定している傾向にあります。地に足をつけて働ける子は、地下アイドルとしても安定するのですね。突飛な職業に見えて、他の職業と変わらないのです。遠い分野の人たちに思えても意外と近く、あなたが働いている職場にも地下アイドルがいるかもしれません。