ビジネス

内定者に就活終了求める「おわハラ」の最新手口を専門家解説

 求人数が回復し、売り手市場となった今年の就職活動で、内定者に対して企業の「嫌がらせ」が問題になってきている。セクハラならぬ「おわハラ」という。なにが起きているのか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が解説する。

 * * *
 今年、話題の就活キーワードと言えば、「おわハラ」です。「就活終われハラスメント」の略です。文字通り、就活生に対して企業の人事が「内定を出すから、就活を終わらせて、ウチにしぼれ」と嫌がらせをすることを指します。どのような手口があるのか。なぜ、この問題が起きているのか。何が問題なのか。解説します。

「おわハラ」の手口は、例えば、次のようなパターンがあります。

【他社の辞退を強要する】

「今、受けている企業を全部辞退すれば、この場で内定を出す」

「この場で、受けている企業全部に辞退の連絡を入れなさい」

 など、内定の辞退を強要するパターンです。いまは、電話番号をネットですぐに検索することができるので、「電話番号が分からない」という言い訳も通用しませんからね。

【他社の選考を妨害する】

 他社の選考に行かせないように、毎日のように面接の日程を入れるなどして妨害するパターンです。

【内定辞退をしようとした人を脅す】

 内定辞退をしようと連絡した人に対して、絶対に入社するように脅すパターンです。そして、前述したような、他社の辞退を強要する行動に出るのです。

「そんなの、昔からあるじゃないか」というツッコミの声がありそうですね。はい、昔からあります。「内定辞退を申し出たら、コーヒーをかけられた」などという都市伝説を聞いたことがある人も多いことでしょう。

 他にも、バブル期には合宿という名目で旅行に連れて行き拘束する、何度も呼び出され映画や食事に連れて行かれる、意味もなく新幹線で博多まで往復旅行に連れて行かれるなんていう話がありました。これらは接待攻勢であり、「いい思い」をしているようにも聞こえますが、他社に行かせないための嫌がらせとも言えます。せっかく就活が終わっているのに学業を阻害する行為だとも言えるでしょう。これらも広義の「おわハラ」とも言えそうです。

 この「おわハラ」がなぜ、今、注目されているのか? 就活時期繰り下げにより、採用活動が混乱しているからです。表向きには8月から選考開始となっていますが、水面下の選考は始まっているわけです。優秀な学生を早く囲い込みたいという意図から、今年はこの「おわハラ」が横行することが懸念されています。

 採用担当者も必死です。求人数が回復し、売り手市場化する中、採用数のノルマを達成しなくてはなりません。他社よりも早く囲い込むために、時間も、人手もお金もかけている中、成果を出せない場合は、責任を追求されるからです。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン