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こども電話相談室が放送終了 時代を映す鏡だった質問の数々

 半世紀以上も続いたTBSラジオ『全国こども電話相談室』(2008年に『全国こども電話相談室・リアル!』にリニューアル)が3月29日の放送で終了した。

 子供たちから寄せられる素朴な疑問や質問は、時代を映す鏡でもあった。

 記念すべき質問の第一号は、「なぜ、工場の煙はあんなに色が違うんですか?」だった。1964年当時はオリンピック景気の真っ只中だった。

 50年前から回答者を務め、味わい深い名回答でリスナーを唸らせた泉福寺住職・無着成恭(むちゃく・せいきょう)氏が振り返る。

「当時、川崎の工場地帯では無数の煙突から白、黒、黄色、紫と様々な色の煙が噴き上がっていました。それを見た子供が不思議に思ったんですね」

 その後も様々な世相を反映する質問が続いた。高度経済成長期の学生紛争や連合赤軍事件の時には、こんなストレートな質問が小学生から届いた。

「ガス自殺をする時は、どのくらい苦しいんですか?」
「連合赤軍は、なぜあんなに仲間を殺したんですか?」

 1970年代後半になると、家庭内暴力や校内暴力が社会問題となった。この頃から、身の回りや社会の素朴な「質問」だけでなく、友人関係の「相談」が寄せられるようになった。

 無着氏が振り返る。

「番組が始まった当初は友達に関する質問はほとんどありませんでした。高度経済成長の終わった1970年代末頃から子供も人間関係で悩むようになり、『私は友達が一人もいないんですが、どうやったら友達ができるでしょうか?』といった切実な身の上相談が増えていきました」

 1980年代に突入すると、「バブルって何ですか?」という質問が。

「子供に真面目に説明してもわからないだろうから、苦し紛れに『生ビールを勢いよく注ぐと下2割がビールで残りは泡。実体はないのに泡を売ったり買ったりするのがバブル経済だよ』と答えてしまいました。『ビールをついでみるとよくわかるよ』って、やっぱり子供向けの答えではなかったかな(苦笑)」(無着氏)

※週刊ポスト2015年4月10日号

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