芸能

NHK大越キャスター「言い過ぎて怒られた」と番組送別会で挨拶

 3月27日、NHKの報道番組『ニュースウオッチ9』の最後の出演で、大越健介キャスターは視聴者にこう別れの挨拶をした。

「いずれ、また別の機会に画面を通してみなさまにお目にかかれればと思います。それまでの間、しばしのお別れです。さようなら。長い間、ありがとうございました」

 大越氏の降板の経緯は不可解だった。NHK報道局幹部がいう。

「4月に新キャスターを抜擢するためには、その前年の10月頃に関係部局が集まってキャスター委員会を開いて調整する必要がある。

 昨年の委員会では大越さんの後任の話題は一切出なかったので、交代はないはずだった。だが、年末の総選挙後に突然、上層部から呼び出されて交代を告げられたようだ」

 大越氏は1985年にNHKに入局し、アメリカ総局ワシントン支局長を経て、2010年から『ウオッチ9』のキャスターに。東大野球部の投手で8勝した異色の経歴、そしてNHKにしては珍しくニュースの後に独自の見解を付け加えるスタイルが話題を集めた。

 大越氏は柏崎刈羽原発のある新潟県出身で、原発報道には一家言あった。かつて雑誌のインタビューでは〈原発事故に関しても、やっぱりいうべきことはきちんといいたい〉と話し、昨年2月、福島第一原発を現地取材した際は〈再稼働の申請が相次いでいますが、自然ははるかに人間の想定を超える力を発揮し得るという教訓に立ち、慎重な上にも慎重な安全確認が行なわれなければならない〉と述べていた。

 原発再稼働を推進する安倍政権にとって耳障りな存在だったことは想像に難くない。局内でも「籾井NHKの官邸との距離感を考えれば、不自然な形での交代人事の背景には、官邸の圧力があったのでは」と勘繰る声も上がった。

 最後の『ウオッチ9』出演の2時間後、大越氏の姿は東京・渋谷で開催された送別会の会場にあった。キャスターやスタッフ約60人が出席。大型スクリーンには大越氏の5年間の活動記録や同氏の親族らのメッセージが映し出された。映像が終わると、大越氏は出席者の前で挨拶に立った。

「私は女性からメッセージをいただくことが多いんです。ある女性からいただいたファンレターには、“わたし、大越さんの声じゃないとダメなんです”と書いてありました(一同笑い)」

「キャスターは視聴者に伝える仕事です。ただ、伝えたい気持ちが強いと伝わらない。私は途中からそんなことばかり考えてました。時には言い過ぎて怒られたこともありました」

「歯痒い思いをすることも多かった。取材で得た情報はすべていえない。泣きそうな思いもたくさんしました。辛くて楽しかった5年間でした」

 その歯痒さの原因が何だったのかは最後まで語らずじまいだった。

※週刊ポスト2015年4月17日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン