国内

日本の地方議員 人数も高給ぶりも他の先進国と比べて段違い

 地方議員は、議会の平均会期日数が90日弱と仕事が少ないにもかかわらず、高収入を維持している。

 都道府県議の月額報酬の平均は約80万円。一般市議で約40万円、町村議で約21万円。なかでも目を引くのは全国に20ある政令指定都市市議の約77万円だ。県議とほぼ同額である。こういった状況に批判はあるものの、政令市議OBはこう本音を話す。

「議員主導で報酬を下げようなんて提案が議会で通ることは絶対にあり得ない。そもそも自分たちが高給をもらっているとの感覚が彼らにはない。

 会期日数の短さなどが槍玉に挙がるが、地方公務員法第24条には〈職員の給与は、その職責と責任に応ずるもの〉と定められている。市議の身分は非常勤・特別職の地方公務員に該当するので、“実働時間や仕事の内容は報酬額に関係ない”と考えている地方議員が大半だ」

 要するに自分たちは特権階級だというわけである。地方議員の本性は、税金を食いものにしながら快適な「センセイライフ」を送るシロアリ集団ではないか。

 この異様な地方議員の姿は日本特有のものだと知っている有権者はどれだけいるだろうか。地方自治行政に詳しい日本大学法学部教授の甲斐素直氏(憲法学)が指摘する。

「イギリスやドイツでは、地方自治法によって地方議員は『名誉職』と規定され、交通費などの実費を除き、月に数万円程度の手当しか出ません。アメリカでも給与を得ているのは年間を通してフルタイムで働く大都市の専門職議員だけで、あとは議会までのガソリン代など実費支給のみのボランティア議員が大半です。

 しかも報酬を得ている専門職議員でも、人口約100万のハワイ・ホノルル市議で年収約5万2000ドル(約630万円)。人口840万人を擁するニューヨーク市議でさえ11万ドル(約1350万円)程度。日本の地方議員の高給ぶりは他の先進国と比べても突出しています」

 おまけに地方議員の数も日本は他の先進国と比べて桁違いに多い。甲斐氏によれば、前出・ホノルル市で9人、人口約65万人のシアトル市で9人、400万都市のロサンゼルス市でもたった15人だ。アメリカ最大の都市ニューヨーク市ですら51人しかいない。

 一方、人口370万人の横浜市の市議定数は86人、126万人のさいたま市は60人の市議がいる。同規模のアメリカの都市と比較すると、日本は5倍の人数である。

「過剰人員に加えて、日本の地方議員は大半が専業であり、議会運営に投じられる税金も巨額。にもかかわらず、図体が大きい分、欧米と比べて、住民の声が地方行政に反映されにくいという本末転倒な事態に陥っている」(同前)

 安倍政権の大物閣僚が続々と統一地方選の応援演説に駆け回っているのは、国政選挙の際に手足となる実働部隊を大量生産するためだ。

※週刊ポスト2015年4月24日号

関連キーワード

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン