高須:たしかに腕時計なんていうものは、いまや実用性よりもステータスのためにあるようなものだからね。「無駄であることが素晴らしい」みたいな。昔、ドイツに留学したとき、スイスの時計職人の話を聞いたことがあったけど、年に2つくらしか作れない高級時計なのに、すぐに狂っちゃうんだって。そういう無駄こそが人間の作ったものの素晴らしさなんだってね。
──むしろ腕時計は時間を知るのに適していないというか…。
高須:そうだよ。だって、宝石が散りばめられた腕時計なんて、文字盤が光っちゃって何も見えないもん(笑い)。そういうもんなんだよ。
──そういう意味では、若者にかぎらず、合理的な考え方が主流になっていますよね。無駄なものにお金を払いたがらない風潮があるというか。
高須:今は二極化しちゃってるからね。一部の大金持ちは、無駄なことにどんどんお金を使ってるけど、それ以外の人は堅実になっているんだろうね。でも、そのうち揺り戻しが来てくれたらいいと思うけどな。無駄なことをしていると楽しいことも多いから。
今の若者たちは「銀座で遊んでいるおっさんって、なんでヤラせてもくれない女性たちのためにこんなことをしてんだろう?」って思うんだろうね。非効率的なのが遊びだって理解できないみたい。いっぱい貢いでフラれる過程を楽しむとか、そういう無駄を「粋」ってことにして、楽しんでいきたいね。若者にわかるかな? わかんないかなあ。「全部僕のおごりだ! パーツとやろうぜ。豪華絢爛。飲めや! 騒げや!」ならわかるだろ?
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「無駄」を楽しむ心は必要だといいつつも、「スマートかっちゃん」化にノリノリな高須院長。美容整形における最新技術の素晴らしさを自らの身をもって証明してきた院長に、「スマート化」の素晴らしさも教えていいただきたいです!
【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。
昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』(新潮OH!文庫)、『私、美人化計画』(祥伝社)、『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』(KKベストセラーズ)、『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。
撮影■津野貴生