投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、4月20日~4月24日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、米国議会での貿易促進権限法案の審議、24日のユーロ圏財務相会合に向けたギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念、28日の日米首脳会談に向けたドル高・円安抑制への警戒感から上げ渋る展開が予想される。
しかし、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や民間機関投資家による外貨建て資産投資増額への期待は維持されており、ドルが大きく売られる状況ではないとみられる。リスク要因としては、中東の地政学的リスクが緊迫化した場合、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念などが挙げられる。
【貿易促進権限法案】
米国議会で、オバマ米大統領に環太平洋経済連携協定(TPP)などの通商交渉権限を一任する「貿易促進権限法案」が審議される。貿易促進権限法案には、通商交渉相手国の為替操作防止に向けた条項が盛り込まれているものの、法案が成立した場合、TPP交渉が進展する可能性が高まることになり、ドル高・円安要因となる。
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に日米が参加しなかったことで、米国及び日本が主導して中国が参加していないTPPの早期妥結の可能性が高まりつつある。
【ユーロ圏財務相会合】(24-25日)
国際支援団によるギリシャ政府に対する融資実行の可能性が低下していることで、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高まりつつある。国際支援団は、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥っても、ユーロ圏に留める措置を検討している模様で、第3次救援プログラムの可能性に注目することになる。
【日米政権のドル高・円安抑制スタンス】
28日の日米首脳会談に向けて、日米政権によるドル高・円安を抑制する動きが警戒されている。安倍政権は、26日の統一地方選挙に向けた地方企業への配慮、ドル高で打撃を受けている米国の製造業やTPPを審議する米国議会への配慮から、円安を抑制する姿勢を強めている。
米国議会では、ドル高への警戒感が高まっており、貿易促進権限法案が成立するか否か注目されている。
4月20日-24日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。