ライフ

胸が苦しく号泣させる マンガ大賞受賞作『かくかくしかじか』

【マンガ紹介】『かくかくしかじか(5)』東村アキコ/集英社/802円

「マンガ大賞2015」受賞作。私も選考員として投票し、決定した時には「当然だ! 傑作だからな!」と(なぜか偉そうに)鼻息を荒くしておりました。

 少女マンガ家への第一歩として美大受験を目指し、地元の絵画教室を訪れた宮崎の高校生・明子が出会う熱血絵画講師・日高先生との思い出をつづった自伝です。

 作者の東村アキコは子育てマンガ『ママはテンパリスト』など周囲の人々を含め「自分のこと」を描くのを得意とする作家。けれど、日高先生はこれまで一度も登場していません。長く大切に寝かされてようやく形になったこの物語は、作者の個人的な体験にもかかわらず、読者それぞれの胸にある「取り戻せないあの頃」を刺激する、普遍的なものになっていました。

 日高先生が言い続けるのはただひとつ。〈描け〉。最終5巻で日高先生が放った〈描け〉(本欄で掲載したコマとは違うのですが)は、「私は絵を描く人間じゃないから関係ない」なんていいわけを許さないほどに強くて、目の前のことをやり続けるしかないという普遍的なメッセージとして、ビームのように私の眉間に突き刺さりました(本当に目がチカチカした)。

 実は最終巻発売後、すぐには本を開けず…。連載で最終回を読み、この巻がどれだけ胸を苦しくするかを知っていたからです。意を決して1巻から読み返すと、やっぱり胸が苦しくて、知っているのに号泣して、でも、ああ読んでよかった、と心から思ったのでした。

(文/門倉紫麻)

※女性セブン2015年5月14・21日号

関連記事

トピックス

再選を確実とし、あいさつする小川晶氏(時事通信フォト)
《ラブホ通い詰め問題》「1日100人に謝罪&挨拶」「ポエティックなインスタ投稿」で小川晶氏が前橋市長に返り咲き、支援者は「皮肉だけど、山本一太さんに感謝状を渡したい(笑)」
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
《クスリ漬けか…との声も》ギャル系美女が映っていた“異様な監視カメラ映像”とは》「薬物を過剰摂取し、足も不自由で、死んでしまう…」中国インフルエンサー(20)の住居の管理人が証言
NEWSポストセブン
100円ショップ(写真提供/イメージマート)
《100円という呪縛》物価上昇と円安に苦しむ100円ショップ 「一度100円と思い込まれたものを値上げするのは難しい」と店主が嘆く
NEWSポストセブン
木原龍一、三浦璃来(写真/AFLO)
【ミラノ・コルティナ冬季五輪】小塚崇彦さんが解説するフィギュアスケート日本代表の強さ 世界王者「りくりゅう」だけじゃない「史上最強の代表陣」
中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
「クスリを支配の道具に」「行為中に使う客層も…」変わり果てた中国人美女インフルエンサーが保護されたシアヌークビル、専門家が語る現地アングラ界隈のリアル
NEWSポストセブン
沖縄県警の警察官が、「ガサ(家宅捜索)」に入った女性の勤務先に押しかけるという事案が発生(左/共同通信社)
《「恋した」「すっぴんがかわいい」と…》沖縄県警捜査員が“ヤミ金事件”捜査女性の勤務先に押しかけ、迫って、批判殺到 “パスポートを押収し、逆らえない状況でエイサーに誘った”
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
〈自慢のロングヘアがボサボサに…〉中国美女インフルエンサー(20)、精神に異常をきたして路上生活…母親が電話で抱いた疑念「話し方を指示されているのでは」【高給求めてカンボジアに渡航も】
NEWSポストセブン
月9ドラマ『絶対零度』で主演を務めた沢口靖子
《60歳とは信じられない美姿勢》沢口靖子、“本人も継続を断念”した『科捜研の女』完結後は…各局が熱視線を送る理由
NEWSポストセブン
秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《不敬どころの騒ぎじゃない》秋篠宮家・佳子さまも被害に…AIを用いた性的画像の被害が世界的問題に 専門家が指摘「男女問わず人権侵害」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《もう家族でハワイに行けない…》“1.5億円の脱税疑惑”の宮崎麗果、“ESTA取得困難”で恒例の「セレブ旅行」は断念か SNSで「深い反省」示す
NEWSポストセブン
元旦に離婚を発表した吉岡美穂とIZAM(左・時事通信フォト)
《3児の母・吉岡美穂がIZAMと離婚》夫のために「“鬼嫁キャラ”を受け入れた妻の想い」離縁後の元夫婦の現在
NEWSポストセブン
2026年1月2日、皇居で行われた「新年一般参賀」での佳子さま(時事通信フォト)
《礼装では珍しい》佳子さまが新年一般参賀で着用、ウエストまわりに“ガーリー”なワンポイント 愛子さまは「正統的なリンクコーデ」を披露
NEWSポストセブン