ビジネス

孫正義氏の外様後継者指名 有能幹部が他社に流れる懸念出る

 ソフトバンク・孫正義社長(57)が、後継者に同社海外事業担当のバイスチェアマン、ニケシュ・アローラ氏(47)を指名した。6月19日の株主総会を経て、代表取締役副社長というナンバー2に就任する。

 インド出身のアローラ氏は投資会社やIT企業の要職を歴任後、2004年にグーグルに入社。最高事業責任者まで昇り詰めた後、孫氏の招聘を受けて2014年9月にソフトバンクに転じている。

 5月11日に行なわれた2014年度決算会見で孫氏は、「毎日、朝起きたらすぐと寝る前に彼に電話している。これほど波長が合う人間はいない」とベタ褒め。しかし、入社わずか9か月の外国人への突然の後継指名に、社内からは不満の声が漏れてくる。同社幹部が語る。

「そもそも孫さんは、社内外から人材を募集して後継者を発掘・育成する『ソフトバンクアカデミア』を2010年7月にスタートさせ、自ら教壇に立って教えてきた。その中に『これは』という人材がいなかったということでしょうが、それにしても社歴の浅い外国人を後継に抜擢したことには幹部社員の落胆は大きい」

 今回、宮内謙・代表取締役副社長がソフトバンクモバイル社長となる一方で本体では平の取締役にするなど大胆な人事が断行され、「今後も海外人材を一本釣りして幹部に就けるのでは」といった不安の声が広がっている。

 海外のIT企業への集中投資を成長エンジンに世界戦略を掲げる同社が、海外の人材を積極的に活用することは当然だろう。ただし、依然として利益ベースで6割以上を国内事業が稼ぎ出している事実も重い。しかも国内では長年トップだった携帯電話契約純増数で3位に転落するなど大きな転機を迎えている。フィスコの日本株アナリスト・田代昌之氏はこう指摘する。

「これまで国内事業を頑張ってきた幹部社員にとっては納得しかねる人事。市場では、今回の人事に疑問を抱く人も少なくない。カルロス・ゴーン社長体制になった日産自動車で見られたように、有能な幹部社員が相次いで同業他社に転じることが十分に考えられるからです」

 創業社長の最大の仕事は後継者へのバトンタッチといわれる。

※週刊ポスト2015年5月29日号

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン