午前8時過ぎ。東京・国分寺市にある東京経済大学の食堂には入れ替わり立ち替わり100人以上の学生が集まっていた。以前ならキャンパスは1限前で閑散としていた時間帯だ。
学生たちのお目当ては食堂で提供される朝ごはんだ。この日の献立はご飯、豚汁、鰆(さわら)の西京焼きに10種類の中から2種類が選べる小鉢がつく。これで値段は何と100円だ。
同大では、今年4月から土日を除く授業実施日に「100円朝食」の提供を通年でスタートした。朝食の原価は300円程度。差額の約200円分は同大の父母の会が負担している。この日の鰆定食(100食限定)は早々に売り切れ、代わりの主菜としてメンチカツを提供する盛況ぶりだ。毎日のように来る女子学生がいう。
「コンビニでおにぎりを買うより安いので助かっている。“朝ごはんは大学の食堂で食べたよ”とLINEで母親に画像を送っています。それを見て安心しているみたいですね」
実家暮らしなのにやってくる男子学生もいる。
「母は“大学のほうが安いし、栄養も考えられているから大学で食べなさい”というんです」
なぜ大学が朝ごはんを用意しているのか。取り組みを始めた理由を大学側はこう説明する。
「アンケート調査で、朝食を摂らない学生が非常に多いことがわかりました。地方に住む親御さんはお子さんの食生活をとても気にしています。とりわけ新入生は初めて親元を離れるなど環境の変化が激しく、1限目の講義も多い。
大学生活が始まってすぐに自分のことがすべてできる人ばかりではありません。そんな時に、父母の会から学生の1日の最初の食事だけでも支援したいという提案があり、大学側も協力して実施することを決めました」(総合企画部)