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大涌谷から半径300m以内を立ち入り規制 根拠を気象庁に聞いた

 年間2000万人の観光客が訪れる箱根の異変は収まる気配がない。火山性地震が連日観測され、大涌谷で勢いよく蒸気が噴き出す「暴噴」も続いている。気象庁は5月6日に警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げた。箱根町は大涌谷から半径300メートルを立入禁止とした。

 大涌谷から半径300メートル以内を立ち入り規制するという判断は楽観的過ぎる。昨年9月に噴火し、57名の登山者の命を奪った御嶽山(おんたけさん)ではマグマ噴火に比べて規模が小さくなる水蒸気爆発だったが、それでも20~30センチの噴石が火口から約1.3キロメートル離れた山小屋に穴を空けている。規制範囲の根拠を気象庁に問うた。

「規制を決めたのは箱根町だが、事前に警戒レベルを2に上げた時の対応マニュアルが作成されており、それに則って規制した。地震の震源がまだ比較的深めなので、そこまで大きな噴火を想定していない。震源が浅くなるなどの動きがあればレベルを3に上げ、規制範囲も広げる」(火山課)

 と判断に自信を見せるが、御嶽のケースについて聞くと「噴火後に警戒レベルを上げた。レベルを引き上げる変化を認められなかった」(同前)と説明する。警戒レベルに基づく判断が信頼できないことを認めながら、“箱根は大丈夫”という奇妙な自信を見せる。

 箱根町に地元の観光業に配慮して狭い規制範囲になっているのではないかとぶつけると、「専門家のみなさんと協議して決めた。人命優先で考えている」(総務防災課)との答えだった。

 地震学者の島村英紀氏(武蔵野学院大学特任教授)はもちろん専門家だが、そのような“安全宣言”とは一線を画す立場だ。

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