京都の目抜き通りである四条通が騒がしい。京都市が進める四条通(烏丸通~川端通)の歩道拡幅事業が火種だ。歩道の混雑解消のため、片側2車線の車道を1車線にして歩道を広げる工事を昨年11月に開始した。
さらに市はバス停を集約し、バスが最大3台停車できるスペースを確保。観光客への配慮だろう。これにより約1.1キロ区間で一般車の通過時間が約30秒遅くなるかわりに、バスは約1分早くなると試算したが、甘かった。
市営バスの乗降中に後続車がバスを追い抜けず、車両がギッシリと数珠つなぎになる事態が頻発。3月の花見シーズンの四条大橋では250メートル先のバス停に到着するまで約20分かかり、運転手が「地下鉄に乗り換えて」と乗客に地下鉄の切符を渡すシーンも見られた。
観光客からは「以前と違ってのんびりぶらぶらと歩ける」と好評だが、四条通に面した老舗飲食店経営者(60代男性)は渋い顔だ。
「渋滞で排ガスがひどく、納品業者の車も遅れる。歩道が広くなったからといって客が増えたわけでもない。工事前に各商店街にアンケートが配布されたけど、商店街の店はみんな反対やった」
京都市建設局道路環境整備課の担当者は、あくまで「京都市全体の活性化」のためだと説明する。
「公共交通によるアクセス性を高め、誰もが快適に買い物を楽しんでいただくことが市の活性化につながります。渋滞解消についてはマイカーの乗り入れを自粛していただくしかない。みなさんに公共交通で来ていただくことで非常に快適な街になるはずです」
観光客にはいいだろうが、地元住民の生活の足が制限されては本末転倒ではないか。工事は今年10月まで続く見通しだが、渋滞が解消する見通しは立っていない。
※週刊ポスト2015年6月5日号