芸能

ラグビー・松尾雄治 フェイントは左とん平の芝居の間が参考

 半世紀を超える芸能生活は波瀾万丈を地で行く七転八倒ぶり。ポーカー賭博による3度の逮捕では世間からの批判も浴びた。しかし周囲には変わらず、厳しくもあたたかく彼を見守るたくさんの仲間たちがいた。このたび、めでたく喜寿を迎えた名優・左とん平(77才)が、友人、後輩たちとの交遊録を初めて明かした。

 * * *
 これまで先輩役者の背中を見て育ってきたとん平は、現在では多くの後輩にとっての「師」として、後進の手本となっている。とん平と何度も共演しているコロッケは喜寿の会でこんなあいさつをした。

「人として、役者としてモノマネをしたい人にやっと出会いました。それにしても、とん平師匠はどうしてあんなに面白いんですかね?」

 元巨人軍のエース・槙原寛己はとん平のスタミナに舌を巻く。

「とん平さんは本当にタフでお元気。徹夜で遊んで、朝からゴルフに行く。腕前もシングルですからね。信じられないほどのバイタリティーです」

 日本選手権7連覇を誇るラグビー界の大スター松尾雄治は「現役時代からとん平師匠の演技が大好きでした。ふと、立ち止まる。ふと、振り返る。何気ない仕草がいいんですね。実はラグビーのフェイントはとん平師匠の芝居の間を参考にしたものです」と意外なエピソードを披露した。

 この会でコロッケは「いつまでも背中を追いかけていたい」と語った。だからこそ、今もなおとん平は現役にこだわり続ける。すでに喜寿を迎え、芸歴も60年に達しようとしている。実にいろいろなことがあった波乱の芸能人生をこうふり返った。

「こんなことを言うと、“反省していない”と怒られるかもしれないけど、遊びをやっていたから、仕事を頑張れたし、多くの仲間もできたというのは確かだと思うな。これまで、多くの先輩たちに助けられてきたけど、気がつけば、おれがもう最年長で、最後の喜劇人といわれるようになっているんだからね。これからも、体の動くうちは若手の刺激になるような先輩でいたいよね」

 パーティー会場を後にする人々はみな笑顔だ。この日の主賓はとても喜寿を迎えたようには見えない、若々しい笑顔で一人ひとりと固い握手を交わしている。

「人間、何でもそうだけど、満腹感があっちゃいけないんだよね。同じように芸も腹七分がちょうどいい。お客さんが“もっと見たいな”っていうところでパッと切り替える。若いときは、ついつい目いっぱいやってしまったこともあるけど、七分ぐらいがちょうどいいんだと、この年になって改めてわかったよ」

 この日のパーティーが盛会に終わり、とん平は決意を新たにする。

「今日を、これからのスタート地点にしたいんだよね」

 左とん平――喜寿を迎えてもなお、まだまだ現役真っ只中だ。

取材・文■ノンフィクションライター・長谷川昌一

※女性セブン2015年6月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン