ビジネス

おしゃれシニア活況 加齢肯定するポジティブな価値観広がる

人気シニア写真集『Over60 Street Snap』(右)と『Advanced Style』

「この歳になると、本人がよければいいと思う」「若く見られるより、魅力的に見られたい」。60歳以上のおしゃれなNY女性たちを追ったドキュメンタリー映画『アドバンスト・スタイル そのファッションが、人生』が先月末公開された。冒頭に紹介したのは、映画に登場する“おしゃれシニア”たちのセリフ。元々はブログから始まり、人気を読んで写真集が刊行(『Advanced Style ニューヨークで見つけた上級者のおしゃれスナップ』大和書房)、このたび映画化もされた。

 いま、映画のみならず、おしゃれを楽しむシニア世代への関心が高まっている。市場拡大の商機であるとともに、加齢を肯定する生き方に共感が広がり、注目を集めているのだ。

 3兆円以上といわれるシニアファッションの市場規模。中でも60代は約1800万人(総務省2014年3月)と、他のどの世代よりも人数が多い。また、60代は、団塊世代を中心に、可処分所得や時間に余裕のある人が多いことも特徴だ。こうした状況を背景に、数年前からシニア世代をターゲットしにしたファッション・ビジネスが活性化している。三越伊勢丹は昨年、60代前後の女性をターゲットにした新ショップ「メゾンドウーマン」を開店。イトキンは新会社「メビウス」で、シニア世代向けの新ブランド「グレイセラ」を立ち上げた。

 おしゃれシニアの増加と呼応するように、歳を重ねることをポジティブにとらえる価値観も広がっている。

 先に紹介した『アドバンスト・スタイル』は“NY発”だが、“日本初”の写真集も好調だ。昨年発売された『Over60 Street Snap いくつになっても憧れの女性』(主婦の友社)は、現在5万5000部と、写真集としては異例の売り上げを見せている。著者は20代のコンビ、MASA&MARIさん。平日はファッションとは関係のない仕事に従事しながら、週末になると銀座や表参道で60歳以上限定のファッションスナップを撮影し、ブログ「L’idéal(リデアル)」で紹介していたところ、評判を呼んだという。「歳をとることに対するイメージをポジティブに変えていきたい」と、ブログに思いを寄せている。

 書店で見つけて購入したという40代女性はこう語る。「表紙の女性がとても素敵で、目に留まりました。皆さん、それぞれのスタイルを楽しんでいるところがいいですね。変に若作りするのではなく、いまの年齢を味わうという姿勢に勇気づけられます。正直、年齢とともに服装はどうでもよくなりつつあったのですが、これを見ると、いくつになってもオシャレを楽しまなくちゃという気持ちにもさせられますね。母も読んでいます」

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン