なのに、この醜態。コンプライアンス担当者と弁護士のレベルに問題があったとしか思えない。ワイドショーに、弁護士が大量に出演するようになったのは20年以上前だ。法律の専門家からコメントをもらうという本来の仕事に加え、各番組とも“この事件報道は、人権侵害って訴えられませんかね?”など放送内容の相談相手として重用した。

 ところが、この弁護士たちが(全部でないが)頼りにならない。ワイドショーの芸能コーナーで嬉々としてコメントする弁護士が何人もいる。ある日。人気グラドルについて訊かれた弁護士が「私は、巨乳ちゃん、好きですよ」とコメントした。

 巨乳ちゃんとは。馬ッ鹿じゃないの! すぐに視聴者からは抗議が殺到した。このレベルの弁護士に、訴えられるかどうか確認しているんだから、そりゃ問題おきますよ。

 堺雅人が演じた『リーガルハイ』では、やり手弁護士が詭弁を弄して、絶対に〝黒〟の事件も無罪にしていく。実際に連戦連勝のカリスマ弁護士も登場した。あのへんで、誰もが勘違いしたんだな。弁がたてば、裁判は勝つと。

 原点に返りましょうよ。いまは“すぐ訴えられる社会”なんです。だったらコンプライアンスを徹底するしかないの。今回の採用内定アナの一件や、取材や放映の基準に関しても、いまの社会常識をクリアしているか、相手を不快にさせてないか。それをベースに考えるしかないんだよ。

※SAPIO2015年7月号

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