芸能

相葉雅紀の月9『ようこそ、わが家へ』 幕引きは斬新だった

「月9」として、この作品は健闘したといっていいだろう。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 ドラマ『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系月曜午後9時)が最終回を迎えました。視聴率はラストへ向かって右肩上がり。15.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、「最終回が最高の数字」。連ドラとして実に幸せなパターンで幕を閉じました。

 いや、数字だけではなかった。「女性1000人が選んだ好きな春ドラマ」(オリスタ)の1位に選ばれたり、ネット上の感想欄で5つ星がズラリと並んだりと、好評です。

 回が進むごとに人気が急降下、というのはよくある話。ところが今回はその反対。なぜ、視聴者の関心を持続的に引き寄せることができたのか? じわじわと期待が高まっていった理由とはいったい何だったのでしょうか?

 嵐・相葉雅紀の「月9」初主演とか、『半沢直樹』の池井戸潤作品が原作、といった話題ももちろんありましたが、それだけでは説明しきれない。おそらく、次の「3つのポイント」が、秀逸だったのでは。

【1】原作をいかにテレビドラマ化するのか

 優れた小説が原作、ということは、描く確固たる世界がありそれを役者や制作陣が明快に把握でき、視聴者にも伝わり易いという、数々の利点があります。しかしその一方で、推理的な筋立てとしてはマイナス。事前に原作を読んでしまえば結論・犯人がわかってしまう。決定的弱点と言えるでしょう。

『ようこそ、わが家へ』は、その「弱点」を克服し、むしろ「強み」にする仕掛けが優れていました。

 原作の主人公は父親。しかしドラマでは主人公をその息子(相葉雅紀)に変え、さらに狂言まわし役として新たなキャラクター、ライターの神取明日香(沢尻エリカ)を登場させ犯人捜しのキーマンとして機能させた。さらに主人公の妹(有村架純)の元カレ等も絡ませて、家族それぞれに緊張感のある問題を作り出しては、それぞれの謎解きを。こうして最後まで緊張感を持続することに成功。

 つまり、しっかりした小説の世界観の上に、ドラマオリジナルの脚本力、構成・演出力が加わった。原作をテレビドラマ化する際、いかに魅力を加えて輝かせるか、という実験が成功した事例、と言えるのではないでしょうか。

【2】刺激を「盛る」演出ではなく、控え目、抑え目、引き算が世間の感覚と共振した

 池井戸小説の特徴は、スーパーマンも決定的な悪人もいない。ちょっとした掛け違い、行き違いが、現実の問題を生み出していく。同時に、普通の人が普通の生活の中でいかにコツコツとまっとうにまっすぐ生きるか、その格闘ぶりを丁寧に細やかに描きだす点にある。ドラマのオリジナルの部分にも、そのトーンがちゃんと通じていました。

 例えば、ライターの明日香がとった行動。一家の事件を描き出した本を、最終的には出版しないで家族にだけ手渡すというくだり。刺激を「盛る」方向ではなく、抑え目、控え目、一歩下がる形で物事を収めていく物語の作り方。それが、「普通の生活」をしている人々の心を揺さぶり、多くの人々の共感を呼んだ。

 ドラマというと「フィクションだから」という言い訳のもとに、「日常にはあり得ない」刺激的で派手な展開にもっていきがち。それが結果として荒唐無稽に陥るのは、NHK朝ドラ『まれ』を見ればわかること。今の時代、視聴者は「盛り」とは逆のベクトルを求めているのかもしれません。それが『ようこそ、わが家へ』の好評につながった。

関連記事

トピックス

茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された事件で1月21日、元交際相手の大内拓実容疑者(28)が逮捕された(知人提供)
《水戸市ネイリスト刺殺》「ぞろぞろ警察がきて朝から晩まで…」元交際相手の大内拓実容疑者(28)“逮捕前夜” 近隣住民の知人は「ヤンチャな子が集まってた」と証言
NEWSポストセブン
フリースタイルスキー界のスター、アイリーン・グー選手(時事通信フォト)
〈完璧すぎる…〉雪の女王が「ビキニ一枚写真投稿」で話題に 22歳の谷愛凌選手、ミラノ冬季五輪へ スキー×学業×モデル“三刀流”の現在地
NEWSポストセブン
《解散強行の波紋》高市首相、大学受験シーズンの選挙でタイミングは「最悪」 支持率高い10代の票は望めずか
《解散強行の波紋》高市首相、大学受験シーズンの選挙でタイミングは「最悪」 支持率高い10代の票は望めずか
NEWSポストセブン
歌舞伎役者・中村鶴松(本名・清水大希)容疑者
《歌舞伎・中村鶴松が泥酔トイレ蹴りで逮捕》「うちじゃないです」問題起きたケバブ店も口をつぐんで…関係者が明かす“中村屋と浅草”ならではの事情
NEWSポストセブン
ブルックリン・ベッカムと、妻のニコラ・ペルツ(Instagramより)
《ベッカム家に泥沼お家騒動》長男ブルックリンが父母に絶縁宣言「一生忘れられない屈辱的な記憶」は結婚式で実母ヴィクトリアとの“強制ファーストダンス”、新婦は号泣
NEWSポストセブン
初場所初日を迎え、あいさつする日本相撲協会の八角理事長(2026年1月11日、時事通信フォト)
土俵が大荒れのなか相撲協会理事選は「無投票」へ 最大派閥・出羽海一門で元横綱・元大関が多数いるなか「最後のひとり」が元小結の尾上親方に決まった理由
NEWSポストセブン
一般人を巻き込んだ過激な企画で知られるイギリス出身のインフルエンサーのボニー・ブルー(Instagramより)
「行為を終える前に準備」「ゴー、ゴー、ゴーです」金髪美女インフルエンサー(26)“12時間で1000人以上”を記録した“超スピード勝負な乱倫パーティー”の実態
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《5か月ぶりの表舞台直前で》米倉涼子、ギリギリまで調整も…主演映画の試写会前日に“書類送検”報道 出席が見送られていた
NEWSポストセブン
天皇皇后、愛子さま
《溜席の着物美人が2日連続で初場所に登場》6年ぶりの天覧相撲に感じた厳粛さを語る 力士のみならず観客も集中し、「弓取り式が終わるまで帰る人がいなかった」
NEWSポストセブン
肺がんのため亡くなったフリーアナウンサーの久米宏さん(時事通信フォト)
《キー局に就職した有名アナも》久米宏さんに憧れて男性アナウンサーを目指した人たち 爆笑問題・田中はTBSラジオでのバイト時代に「久米宏さんになりたかった」
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《ゲッソリ痩せた姿で取調室に通う日々》米倉涼子が麻薬取締法違反で書類送検、昨年末に“捜査終了”の匂わせ 元日にはファンに「ありがとう」と発信
NEWSポストセブン
 相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
「美しすぎて語彙力消失した」6年ぶりの天覧相撲 雅子さまは薄紫の着物、愛子さまは桜色の振袖姿でご観戦
NEWSポストセブン