『妄想グルメ』の制作者、伊藤元亮さん、里惠子さん夫妻
元:そこからいろいろやってみようと思って、子供たちと「野菜でお寿司を作ったらおもしろいね!」「えびの代わりにこれを使おう」などとワイワイ盛り上がって、『なんちゃってお寿司』という動画を撮りました。結局、賞はとれなかったんですが、それが当時YouTubeが行っていた新人賞(ネクストアップ)やYouTubeアワードにノミネートされたことで俄然やる気になりました。
2012年には前年に逃したネクストアップの賞を受賞できて、YouTubeを運営するGoogleさんにクーポンなどをいただいて、機材を購入しました。最初よりはいくらか機材がグレードアップして意欲もわいていたところで、NHKの『クローズアップ現代』に取り上げられました。そこから周りにも認知されるようになりましたね。それと同時期にアメリカのYouTubeネットワークからも声がかかってアメリカのロスに招待してもらったりしました。2013年には本も出版することもできました。
――動画を作るうえでこだわりはありますか。
元:しゃべらない、BGMをいれていない、特別なカメラを使っていない、特殊効果を使わない、不親切だし真面目か本気かわからない。こだわりの無さがある意味がある意味こだわりですね。結果としてそうなったという感じですが…。
ぼくたちがBGMを入れなくなった理由のひとつは、テレビの音やBGMなどが入ると著作権に引っかかって、動画が削除されてしまったことがあったからなのですが、そうしたら逆に音楽がないのが良い、癒される、と言われるようになり、それからは調理音や環境音にこだわるようになって、音がきれいに入るようにマイクを設置したりしています。
動画はいろいろな国の人が見ています。日本語で話しかけても英語圏の人にはわからなくて壁ができてしまうけれど、ぼくらの動画にはそういった余計なことがないので、見ている人は、遠くでセミが鳴いているとか、近くで子供たちが話しているとか、そういうところに反応してくれる人がとても多いです。
――今では動画制作はほとんど里惠子さんが行っているそうですが、動画を作るのにはどれくらいの時間がかかりますか?
里恵子(以下、里):実は結構時間がかかっています。撮影は一日で済ませるように頑張っていますが、編集も意外と手間がかかっていて、家事の間にやったりするので3日くらいかかるときもあります。
――レシピはどのように考えているのですか。