ビジネス

金価格 「下値は底堅いが上値は極めて限定的」と専門家分析

 金価格の低迷が続いている。1トロイオンス(約31グラム)当たり1200ドル前後の相場となっている。そこから金価格はどのような動きをみせるのか、金の動向に詳しい豊島逸夫氏が解説する。

 * * *
 金価格の動向を巡って今年前半、欧米市場に大きな変化が見られた。それまで続いてきたドル高傾向がドル安へと一転、長期金利も上昇に転じている。

 カギを握るのが、ヘッジファンドの動向だ。今年3月に始まったECB(欧州中央銀行)の量的緩和を見越して、ヘッジファンドをはじめ投機筋がユーロ売り、欧州国債買いに走ったが、さすがにやりすぎたのだろう。ドイツ国債の利回りがマイナスも視野に入り、スペイン国債の利回りが米国債をも下回るような異常事態が一気に巻き戻され、金利は上昇、ユーロ高に伴うドル安という流れに一変した。

 加えて「Sell in May(5月は売り)」という米国の相場格言通り、NYダウやドイツDAX指数なども下げが目立つようになった。

 本来、「有事の金」といわれるように、「ドル安」「株安」は金価格にとって追い風となるはずだ。しかし、目下のところ、金の人気は高まらず、国際金価格は1トロイオンス当たり1200ドルを割り込む展開が続いている。

 おそらくこの傾向は今年後半も続くに違いない。最大のポイントは3つある。

 まず1つ目が「米国の利上げ」だ。米国の今年3月の貿易赤字が1996年以来の増加率で大幅に拡大し、マイナス成長も予測されるなど米国経済の悪化懸念が高まるなか、当初は今年半ばとも見られていた利上げの時期が後ズレする公算が高まっている。

 ここにきて「9月説」どころか、「12月説」まで浮上しているほどだ。金利を生まない金はドル金利の上昇が“天敵”であり、その時期が先送りされることは本来、好材料である。しかし、実際には、いつ金利が上がるかわからないという利上げ懸念が世界的な金の購買意欲を削ぎ落としているのだ。この利上げ圧力が今年後半も続くのは必至だろう。

関連キーワード

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン