スポーツ

交流戦終了時のHR数 セ238本パ306本は文化の違いも影響か

 今年の交流戦は、セ・リーグとパ・リーグのリーグの違いが大きくクローズアップされる結果だった。某パ球団のコーチは、巨人戦を終えた後、こんな言葉を口にした。

「昔は巨人の打線といえば名前を見ただけで怖かったけどな。それが今は見る影もない。このチームが首位争いをしているのだから、他も推して知るべし。今のセの打者じゃ、パの投手は打てないよ」

 その言葉通り、プロ野球交流戦はパの61勝、セの43勝と、パの圧勝で全日程を終了した。

 最高勝率チームとなったのは、12勝6敗のソフトバンク(SB)だ。18試合で90得点をマークした破壊力は、セの投手陣を震え上がらせた。2位以下は日本ハム、西武、楽天、ロッテと続き、セで勝ち越したのは阪神のみという体たらくだった。

 その傾向は交流戦だけではない。ここまでのシーズンを通して、両リーグの打撃成績、特にホームラン数の違いが目立つ。交流戦終了時点で、セの238本に対し、パは306本。チーム別に見ると、最多の65本を量産したSBに対し12球団最低の阪神は29本止まりだ(成績は交流戦終了時)。

 評論家は、両リーグの野球観の違いを指摘する。近鉄、中日、西武でプレーした金村義明氏が語る。

「パはそれぞれの打者が思い切って振ってくる。セのように1点を取って守り切るような試合はしない。セは進塁打や待てのサインなど“縛り”があるから、パと戦うとこぢんまりと見えてしまいますね」

 全球フルスイングを売りにする首位打者の柳田悠岐(SB)をはじめ、リーグ本塁打王の中田翔(日本ハム)や、西武の“おかわり君”こと中村剛也、森友哉……パの豪快なパワーヒッターは、確かにセにいないタイプばかりだ。

「筒香(嘉智)が好調だったから、横浜だけはパワーでいい勝負をするかと期待していたが、その筒香がケガで交流戦を離脱。違いが余計に目立ってしまった」(金村氏)

 また、筒香の他にもバレンティン(ヤクルト)やエルドレッド(広島)など長期離脱したホームランバッターが多いことももちろん大きな要因だ。ヤクルト、巨人、阪神で4番を打った広澤克実氏はこう分析する。

「セはアウトになっても走者を進める野球をし、パはダブルプレーになってもいいから振り切る野球。セでは右打者は右方向に打つのがいいバッティングだと思っている選手が多いんです。この固定観念のせいで、セは引っ張れる打者がいなくなりましたね」

 イチローの“振り子打法”の生みの親である元オリックスの打撃コーチ・河村健一郎氏も同意見だ。

「阪神や巨人のような人気球団はマスコミなど“外野”の声も気にするのでしょう。そのため選手もコーチもチャンスで失敗して批判されることを過剰に恐れる傾向があります。そのため、とにかく困ったら進塁打、という文化になっている」

※週刊ポスト2015年7月3日号

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン