12球団本拠地球場での本塁打数を調べると、ヤフオクドームは交流戦終了時点で39本と昨年1年分をすでに超える急増ぶり。理由のひとつと考えられるのが今年2月、外野フェンスの内側に作られた新たなフェンスだ。「ホームランテラス」と命名され、フェンスの中には一、三塁側合わせて約300席の観客席を増設。ホームベースからフェンスまでの距離は、最大で5メートル近くなり、フェンスの高さも5.8メートルから4.2メートルになった。
ソフトバンク(SB)がヤフオクで放った39本塁打のうち、このテラス席に飛び込んだ打球は17本。実に44%がテラス弾である。このペースなら、今季終了時点で83本塁打に達し、チーム記録(2005年の74本)を塗り替える。
しかし、この増加は単純に「球場が狭くなった」ことだけが原因ではなさそうだ。テラス設置はフェンスの前で打球が失速したり、フェンスダイレクトで終わったりする中距離打者に有利に働く。SBの代表格は松田宣浩だ。
だが松田の結果を見ると興味深いことに、13本塁打しているが、テラス弾は4本だけなのだ(全本塁打の31%)。
「本人は“テラス席ができたことで力まなくなった。楽な気持ちで打席に入れる”とテラス効果を口にしています」(球団関係者)
スタンドへ届かせることを意識しすぎて力めば、かえって球は飛ばないというのだが、これを身をもって痛感した松田の先輩がいた。ダイエー時代に主砲として活躍したSB前監督・秋山幸二氏だ。
「かつて福岡ドームは日本一広いうえに高いフェンスを構える、ホームランが最も出にくい球場として知られた。西武から移籍してきた秋山さんはフェンスを越える打球を打つためにスイングを改造したが、結果的にフォームを崩し、故障までしてしまった」(スポーツ紙デスク)