国内

大分放火殺人容疑者 自衛隊上司のパワハラでうつ気味だった

「まさひろぉ! 飛び降りろ! オレが悪かったんだぁあ!! うああああ!!」。燃えさかる自宅の前で、父親がへたり込み、絶叫する。その横で母親は半狂乱になり、頭から水を被って家に入ろうとして消防隊に羽交い締めにされた。

「おねぇちゃんあっついよぉ!! 早くおきてよぉ!!」。3才の娘の叫びが、赤い夜空に響き渡った。

 7月5日深夜0時、大分県杵築市の住宅が全焼し、子供4人の遺体が見つかった。現住建造物等放火の容疑で逮捕されたのは、一家の父親である末棟憲一郎容疑者(40才・すえむねけんいちろう)。遺体は、長女・悠佳梨さん(14才)、四男・雅祐くん(9才)、次女・真由美さん(7才)、五男・滋くん(5才)と判明した。

 父親は警察の取り調べで「私が油をまいて火をつけました」と容疑を認めている。海上自衛隊に勤める末棟容疑者は、妻と8人の子供を持つ10人家族の主だった。

「大分のビッグダディなんて言われるくらいでよ。どっかテレビでも取材に来ねぇのかってくらい仲良し大家族だったんよ。なんでこんなことになっちまったんだ」

 近隣住人がこう嘆息するように、一家は、地元でもその仲睦まじさが知られていた。

「お父さんは広島基地に単身赴任していてね。週末は軽自動車で5時間かけてこっち帰ってきて、家族で過ごしていたんよ。短髪でガッチリして、寡黙な人だったけど、子供らをかわいがってたよ。

 最近でも、末棟容疑者が自宅の庭にテントを張り、煮炊きをして“プチキャンプ”を楽しむ様子が目撃されていた。だが現実に、彼は自宅に火を放ち、この小さな幸せを自ら終わらせた。彼の抱えた闇の深さは、ごく親しい人間しか知らなかった。

「最近、彼は仕事絡みでうつ病気味だったんだわ。彼の所属する部隊は、航空機の整備を担当していたんだけど、自衛隊特有の厳しい上下関係に加えて、パワハラ上司がいたみたいでよ。その日の気分によって司令がコロコロ変わるもんで、振り回されて毎日深夜まで仕事してたよ。そんで、疲れ果てた体で5時間かけて大分帰って、日曜夜にまた帰るんだから、相当きつかっただろうな。

 一家を広島に呼び寄せるっちゅう話もあったんだけど、自衛隊員は転勤だらけで、いつまた異動するかわからんから、その話もなくなった。最近じゃあ、“もう仕事辞めちまおうか”なんて話すこともあった」(末棟容疑者の友人)

 離職について、彼は妻と再三にわたって話し合ったというが、結論は出なかった。

「そりゃ、子供がおるもん。奥さんと何度話し合っても、最後は必ず、“じゃあ8人の子供をどうやって養うんだ”っちゅう話になるんだわ。彼は40才で、転職先なんかあるかもわからん。実家の両親にも相談していたみたいだけど、答えが出んでな。もうニッチもサッチも行かなくて、最近は夫婦げんかも多くなってたんよ。心配になって奥さんに声かけたんだけど“ちょっと夫の体調が悪いんです。でも、うちは大丈夫ですから…”って気丈に話しとった。全然大丈夫じゃなかったんや」(前出・末棟容疑者の知人)

 事件翌日、末棟容疑者の実家を訪れた。

《大変な事件が発生し、世間の皆様には誠に申し訳ありません。私たちは取材に応じられる心境にはございません。お引き取りいただければ幸いです》

 そう書かれた紙が、郵便受けに貼り付けられていた。

※女性セブン2015年7月23日号

関連記事

トピックス

初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン